多くがオーソドックスなグループ展形式でブースを展開するなか、個展形式でアーティストの作家性を押し出すギャラリーはその個性が際立っていた。ドイツ・ベルリンのギャラリーゾン(Galerie Son)は、ベルリン拠点のアーティストであるシュテファン・エルスナーを韓国で初紹介する。ベルリンの壁崩壊前の東西ドイツ国境地帯で制作を行うなど、ドイツの分断と自身の葛藤をテーマとした作品を生み出してきたエルスナー。会場には冷戦期の東西ドイツ国境で掲げられていた「あなたはアメリカの区域を離れます」の標語が書かれた看板を支持体とした作品などが強烈な印象を与えていた。

ソウルのギャラリーセジュル(GALLERY SEJUL)は、点や線を描いた韓紙を積み重ね、その時間や労力を物質感あふれる立体として表現する車季南(チャー・キーナム)を紹介。モノトーンの塊が時間の蓄積という重厚感を会場に持ち込む。

韓国および国外の現代美術作家を紹介してきた、ソウル拠点のギャラリーウン(Gallery Woong)。キャンバスを立体の構造物として再解釈し、麻地を張ることで発生している力の緊張関係を作品で表現するキム・ヨンジュを個展形式で見せている。アクリル絵具からパステルまでを様々に使いわけ、表情豊かなテクスチャをつくり出していることも作品のおもしろさにつながっていた。

昨年、日本からは18のギャラリーが参加したが、今年は8ギャラリーに留まるなど、時流の変化を感じる結果となった。いっぽうで、日本から初参加したギャラリーもあり、なかでもLWArtは現在は店舗を持たず、国際展を中心に出展企画を行うという独自の戦略を行っていることが特徴だ。会場では新埜康平をはじめとしたアーティストを紹介し、新たなコレクターに対するプレゼンテーションを行っていた。




















