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SBIアートオークションがアートフェア東京と連携して3回目のオークションを開催。明暗の分かれた「東京のいま」を振り返る

SBIアートオークションは3月9日に東京国際フォーラムにて「Tokyo Contemporary: Redefined」セールを開催した。今年で3回目を数える、アートフェア東京と同時開催の「東京のいま」を映し出したオークションの主要な落札結果をまとめてレポートする。

文・写真=塚田萌菜美

オークション風景より

 SBIアートオークションは3月9日に東京国際フォーラムにて「Tokyo Contemporary: Redefined」セールを開催した。アートフェア東京が開催中の会場の上階で行われた本セールは、厳選された「東京のいま」を映し出すべく、各作家を原則1作品ずつ紹介していく肝入りの企画オークションである。2022年から始まり、3回目となる今回は全83ロットが出品された。

オークション会場より、谷口正造《作品》(2016)落札の様子

 序盤は昨年から今年にかけてブレイクしたニューカマー作家による作品の競りとなった。ロット008の谷口正造による100号のキャンバスは、会場入札者同士で激しく競り合い、エスティメイト上限の約3倍となる500万円で落札されている。このほかにも友沢こたおによる100号キャンバスが770万円、Shun Sudoによる50号キャンバスが570万円で落札された。

オークション会場より、KYNE《Untitled》(2017)落札の様子

 そうしたいっぽうで、過去数年にわたりSBIのラインナップ常連となっているストリート、ファッション、ポップな傾向を持つ若手作品については明暗が分かれた。KYNEの50号キャンバス作品は、版画の原画ということもあり、エスティメイト1000万〜1500万円のところ、日本語の電話を抑え、2200万円で会場のビッダーが落札している。類似サイズの作品が昨年7月のSBIアートオークションで落札されているが、当時よりも結果としては良いものとなった。

下見会風景より、ロッカクアヤコ《Untitled》(2014)

 ロッカクアヤコによる90センチ四方のキャンバス作品は、2019年4月にSBIアートオークションで落札された作品の再出品である。当時1200万円で落札された本作は、エスティメイト1000万〜1500万円のところ、2000万円で書面により落札されている。

 こうしたいっぽうで、花井祐介のドローイング作品や橋爪悠也、フィリップ・コルバート、Mr. Doodleによるオリジナル作品が不落札となったほか、コムロタカヒロや大山エンリコイサム、松山智一、村上隆らのオリジナル作品がエスティメイト下限より数ビッドで落札されるという、やや苦しい展開となった。過去5年ほどスターの座に君臨してきた作家たちに、ややシビアな現実が突き付けられている。

下見会風景より、今津景《Red List》(2015)

 そんななかでもこの日一番の伸び率を記録したのが、今津景による《Red List》である。山本現代(現ANOMALY)の展覧会歴を持つ130号キャンバス作品をめぐるバトルは、エスティメイト200万〜300万円のところ、上限を超える書面入札合戦から始まり、複数のオンラインと会場、電話の入札の応酬となった。最終的にはオンライン同士が残り、1350万円での落札となっている。

オークション会場より、Chim↑Pom from Smappa!Group《SUPER RAT》(2006/2011)落札の様子

 このほか、注目すべき出品作品といえば、Chim↑Pom from Smappa!Groupによる《SUPER RAT》であろう。殺鼠剤耐性のついたネズミを路地で作家らが捕獲し、剥製化したうえで某アニメのキャラクターになぞらえた作品である。ボールのなかにはネズミを捕獲する様子を収めた映像のUSBメモリが格納されている。エスティメイト180万〜350万円のところ、オンラインとアジアの電話の2名が当初から競り合い、アジアの電話入札者が280万円で落札した。

オークション会場より、草間彌生《Pumpkins》(2006)落札の様子

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