現代の日本を生きる人々の孤独や不安を描く作品で知られており、2005年に31歳で逝去した画家・石田徹也(1973〜2005)。メガギャラリーのガゴシアンがその作品をグローバル・リプリゼントすることを発表した。
石田は1973年静岡県生まれ。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。わずか10年間のアーティスト活動のなか、1990年代以来の全国的な経済不況の時代に成人した人々の不安、疎外感、孤立感を伝える作品を描き続けた。戦闘機、ガソリンスタンド、玩具など日常生活で目にするものと身体を組み合わせたイメージを用いて、非人間的な社会を批判する鋭い寓話を生み出している。
2005年の逝去後、その初めての美術館個展「飛べなくなった人 石田徹也 青春の自画像」(2006)が静岡の駿府博物館で開催。以降、静岡県立美術館、練馬区立美術館、浜松市美術館、平塚市美術館や、海外ではアジア美術館(サンフランシスコ)、ソフィア王妃芸術センター(マドリッド)などでも個展が開催され、その作品は第4回横浜トリエンナーレ(2011)、第10回光州ビエンナーレ(2014)、第56回ヴェネチア・ビエンナーレ(2015)にも出品されている。
ガゴシアンは2013年、石田の日本国外での初個展を香港で開催。以来、石田の作品を世界中に紹介するうえで重要な役割を果たしてきた。同ギャラリーのシニア・ディレクターであるニック・シムノビッチは声明文で「私は15年以上前に初めて石田の作品に出会い、すぐに魅了された」とし、次のように話す。「石田は生涯に200点あまりの作品を制作したが、生誕50周年の節目にニューヨークで80点以上の作品を紹介できることを本当に光栄に思う」。
ガゴシアン・ニューヨークでは、9月12日より石田の個展「My Anxious Self」を開催。昨年の第59回ヴェネチア・ビエンナーレの芸術監督を務めたチェチリア・アレマーニのキュレーションによる本展では、個人コレクションや静岡県立美術館所蔵の絵画が展示され、石田の日本国外におけるもっとも包括的な展覧会となる。