3月17日・18日の2日間にわたり、渋谷のトランクホテルを会場に開催された「NFT Summit Tokyo [ponnacle]」。そのうち、18日にはAdobeによるセッション「クリエイティブの未来:NFTはクリエイターを取り巻くエコシステムをどう変えるか?」が行われた。
PhotoshoopやIllustratorなどのクリエイティブツールで知られるAdobe(アドビ)。今年で40周年(Japanは30周年)を迎えるなか、アドビはNFTにも乗り出している。
セッションに登壇したAdobeの里村明洋(マーケティング本部シニアディレクター)はNFTについて、「著名なクリエイターではなく、すべてのクリエイターが活躍できる可能性がある」としつつ、リスクも指摘。NFTは来歴をトラッキングできるのが大きな特徴のひとつだが、ミント前の作品(元データ)の真贋や作者は必ずしも判然としないのが現状だ。そうした問題に対し、「NFTマーケット成熟のためにはそれを解決する必要がある」と訴える。
そこでキーとなるのが、2019年にAdobeがTwitter、New York Timesと共同で発表した「Content Authenticity Initiative(コンテンツ認証イニシアチブ)」だ。これは、誰がいつ、どのようにデータを制作したのか、制作記録をすべて残すというもので、NFTと接続することでより高い信頼性を作品に付与することができる。スタートから3年が経つこの取り組みは、いまやソニーやgetty images、ニコンなど世界各国の企業が参画するほどのネットワークになっている。Adobeはこのジャンルにおいて、主導的な役割を担う。
例えばAdobe Photoshopには「コンテンツ クレデンシャル(Content Credentials)」機能が実装されており、細かな情報を記録することが可能だ。またNFTマーケットプレイスとも連携しているクリエイターのためのSNS「Adobe Behance」を通じ、デジタルアート・クリエイティブを支援している。
クリエイターにとって欠かせないツールを提供するAdobe。そのNFTへの取り組みからは今後も目が離せない。