クリスティーズが2021年上半期の結果を発表。総売上高は25億ポンド(約3800億円)で、過去6年間で2番目に高い数字となった。
この数字は、パンデミック前の2019年同期の総売上高より13パーセント増。オンラインおよびプライベートセールスが大幅に成長し、すべてのオークションにおける落札率は過去最高の87パーセントとなった。
クリスティーズのCEOギヨーム・セルッティはZoomで行われた記者会見で、「これは、市場の回復力を証明しているだけでなく、我々のチームが世界中で非常に優れたパフォーマンスを発揮していることを示している」とコメントした。
上半期に行われた全世界のオークションでもっとも高額な美術品12点のうち、上位2点を含む7点がクリスティーズで落札。5月にニューヨークで開催された21世紀美術のイブニングセールで、ピカソの《Femme assise prés d'une fenêtre》は1億341万ドル(約113億円)で落札され、2年ぶりにオークションで1億ドルを超えた作品となった。また、3月に香港で開催されたシングルロットオークションではバスキアの《Warrior》が3億2360万香港ドル(約45億円)で落札され、アジアで出品された西洋絵画において過去最高額を記録した。
顧客の地域別では、アジアが39パーセント、ヨーロッパ、中東およびアフリカが33パーセント、南北アメリカが28パーセントを占めた。クリスティーズ香港の売上高は2019年同期より40パーセント増の結果を記録し、アジアからの購買力が大幅に増加していることが明らかになった。
クリスティーズ・アジア・パシフィック社長のフランシス・ベリンはアジアの顧客の特徴について、「かつてないほど若い」「多額の金を使う」「デジタルへの関心が非常に高い」「カテゴリーを超えて購入する」としつつ、「アジアの顧客は18年と19年に25〜26パーセントを占めており、去年は34パーセントだった。また、高級品にも引き続き非常に積極的で、当社のグローバル・オファリングの50パーセントを購入した」と述べている。
上半期で特筆すべきは、約6935万ドル(約75億円)で落札されBeepleのNFT作品《Everydays - The First 5000 Days》。クリスティーズはNFTを取り扱った最初の国際的なオークションハウスとして、3月にこの作品をオンラインセールに出品。本作の落札は、現存アーティストのオークション記録第3位となり、オンラインでの落札価格の過去最高額を記録するなど、大きな話題を集めたことは記憶に新しい。
こうした結果を振り返りつつ、セルッティはパンデミック後については「ある種のハイブリッドなフォーマットが生まれるだろう」との見方を示している。