文化庁による支援も
日本建築家協会やDOCOMOMOなどから、同建築の保存再生を求める声も出ており、追い風も吹いている。ハーバード大学大学院・森俊子教授は、「細かく美しく設計された力強い建築は丹下建築の中心であり貴重な作品」としつつ。「香川は素晴らしい建築文化を持っている。それは世界に誇れるものであり、資産として大切に守っていただきたい。再生委員会の案は信頼できる。建築文化継承のお手本として世界に誇れるものだ」と評価する。
また丹下健三の息子である丹下憲孝は、「父・丹下健三が香川の自然や環境に寄り添いながら、構造的にも造形的にも新たな挑戦を行った、私にとってもかけがえのない建築。いま、近代建築をいかに残すのかという分岐点にある。旧香川県立体育館が新たなかたちで再生されれば、近代建築の再生の大きな一歩になるだろう」と期待を示した。

国によるバックアップも重要だ。もし旧香川県立体育館が重要文化財相当に指定された場合、補助や税制優遇によって大幅なコストダウンにつながる可能性がある。文化庁の文化審議会に設置された建築文化ワーキンググループ(WG)で座長を務める後藤治は、「WGでは、近代建築の凍結保存でもスクラップ&ビルドでもない第三の道を積極的に支援していこうと議論している。現状変更があっても支援対象として見るべきであり、旧香川県立体育館の取り組みが実現すれば、建築文化振興の象徴的なモデルとなり得る」との見解を示した。
再生委員会は県側に対して、解体公告を止めたうえで協議に応じるべきだと訴える。建築史においても貴重な作例に真正面から向き合う姿勢が、香川県には問われている。




















