「AWARE賞 2025」を谷内恒子とガブリエル・マングルが受賞【2/4ページ】

谷内恒子に「名誉」賞

 谷内恒子(1946年兵庫県生まれ、1987年よりパリ在住)は、パフォーマンス、ビデオ、写真、インスタレーションを駆使し、アートと現実、ジェンダー、社会、人種などの境界を探求してきた。彼女の代表的なシリーズ「ミクロ・イヴェント」は、日常の出来事を題材とし、観客、作品、アーティストの関係を再考する試みだ。1999年の《Micro-événement n°5 / Neuf personnages de femmes(ミクロ・イヴェント n° 5 / 九人の女性キャラクター)》では、女性が社会の枠組みの中で果たす役割や、その解放の可能性を探求した。

 近年は、キンバリー・クレンショーの「交差性フェミニズム」やアシル・ムベンベのポストコロニアル思想と共鳴する「多人種民主主義」といった概念を取り入れ、より広範な社会的・政治的文脈でパフォーマンスを展開。2018年の《Micro-événement n° 50 /Mon corps est politique(ミクロ・イヴェント n°50 / 私の身体は政治的である)》では、他者とのコラボレーションを通じて身体の社会的・経済的側面を問い直した。

 谷内は、パレ・ド・トーキョー(「Tokyorama」2001年)、リバプール・ビエンナーレ(2004)、グラン・パレ(「La Force de l’art」2006・2009年)、ポンピドゥー・センター(「Rendez-vous du forum」2010年)などで作品を発表し、2014年には銀座メゾンエルメス フォーラムで個展を開催している。

谷内恒子
© Nacása Partners Inc., Courtesy fondation d’entreprise Hermès, ADAGP, Paris 2021
谷内恒子 Micro-événement /Anniversaire de mariages, performance, pour Rendez-vous du forum, Session 2, Centre Pompidou, Paris, 2010,
Photo Maria Tomé, © ADAGP, Paris

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