第35回世界文化賞にソフィ・カル、坂茂ら決まる【3/5ページ】

 彫刻部門のドリス・サルセドは1958年コロンビア・ボゴダ生まれ。いまも同地を拠点に活動。力、喪失、記憶、痛みをテーマに、そのメタファーとして椅子など木製家具や衣類、花びらといった身近な素材を再利用・再構築しながら表現している。

《フラグメントス(断片)》(2018)、武器を溶かした金属のタイル床を歩くサルセド、2024年5月ボゴタ
©The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

 すべての作品は暴力の被害者をモチーフにしており、自身の作品について「第一に、力が簡単に忘れ去られないように暴力の証人となること。第二に、作品を通して被害者の苦しみへの共感を示すこと。第三に、世界で起きていることを批判的に分析・思考する言葉でありたい」と語っている。ロンドンのテート・モダンから委嘱を受け、タービンホールの床に亀裂を創出し、植民地から連れてこられた奴隷や人種差別といった問題を表現しシギンスタレーション《シボレス》(2007)でその名を世界に知らしめた。2014年にはヒロシマ賞を受賞している。現在は、ウクライナ、ガザ、シリアのような場所で目撃される「被害者を苦しめ、強制的に移住させることを目的とした、故意による家の破壊」を扱う、人間の髪の毛を使った作品を制作中だという。

プレガリア・ムーダ(沈黙の祈り)2008-10
ポルトガル・リスボンのCAMでの展示(2011-12)
Photo: Patrizia Tocci
Courtesy of Doris Salcedo Studio
ア・フロール・デ・ピエル 2012 バラの花びらと糸
バーゼル・バイエラー財団美術館の展示風景(2023)
Photo: Mark Niedermann
Courtesy of Doris Salcedo Studio

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