「古道具坂田 僕たちの選択」展図録が刊行。415枚の紙片で構成

古美術商であり優れた審美眼の持ち主であった坂田和實(1945〜2022)の、中国で初となる回顧展図録『古道具坂田 僕たちの選択』が刊行される。

左から、スリーブケース、タトウ(黒箔押し、題箋貼り) 撮影=稲葉真

 古美術商であり優れた審美眼の持ち主であった坂田和實(1945〜2022)。その、中国で初となる回顧展の図録『古道具坂田 僕たちの選択』が刊行される。

タトウの題箋に刷られた写真は、目白の古道具坂田の壁に遺された、長年使用されていた棚の跡

 「古道具坂田 僕たちの選択」展は、レンゾ・ピアノが設計を手がけた中国・杭州の天目里美術館で開催されている坂田和實の中国初個展(〜7月21日)。坂田は1973年に東京・目白に「古道具坂田」を開店し、ヨーロッパ、アフリカ、南米、アジアのアンティーク雑貨や生活工芸品を蒐集・販売。94年、千葉県に「museum as it is」を設立し、自らのものさしによる「選択」を軸とした表現活動を通して古美術と現代美術への挑戦と考察を示し、日本のみならず世界の美術・デザイン界に多大な影響を与えた。

 同展は、アーティスト・青柳龍太がキュレーターとなり、坂田の生涯にわたる美意識の探求を反映した400点以上の品々を厳選して展示するもの。紀元前2世紀のアフガニスタンの石器、6世紀のエジプトの織物、2世紀の弥生土器、17世紀のオランダのデルフト陶器、20世紀のアフリカの木工具、18世紀のヨーロッパの家具、そして日常的に使われていた中古品など、多彩な品々が並ぶほか、映像や資料、書簡なども展示。坂田の美の世界を総合的に迫る回顧展だ。

 本書は青柳監修のもと制作された図録で、出品作品456点(作品図版 364点)と展示風景に加え、李琳(天目里美術館創設者)、月森俊文(日本民藝館職員)、沢山遼(美術批評家)らによる寄稿文を収録。415枚/830頁の紙片の集積からなる造本を通して、収録内容やマテリアルの様態を等価に提示し、読者が順番を選択したり組み換えたりすることのできる一冊の書物として構成されている。

『古道具坂田 僕たちの選択』
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『古道具坂田 僕たちの選択』

編集部

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