『魔女の宅急便』の作者として知られ、88歳になったいまでも現役の児童文学作家として精力的に活動する角野栄子。そんな角野を4年間にわたって撮影し、創作活動の裏側を収録したドキュメンタリー映画『カラフルな魔女〜角野栄子の物語が生まれる暮らし〜』が、1月26日より全国ロードショーされる。
角野は1935年に東京・深川で生まれ、5歳で母を亡くし戦争を経験。24歳のときに新婚の夫とともにブラジルに渡り、35歳で作家デビューするなど、波乱万丈な人生を歩みながら、持ち前の冒険心と好奇心で幾多の苦難を乗り越えてきた。
作家デビューから53年。そのユーモアと想像力で、260冊を超える作品を世に送り出してきた。代表作『魔女の宅急便』では、野間児童文芸賞、小学館文学賞等受賞、さらに映画化、舞台化され、世界的ロングセラーとなる。2000年には紫綬褒章、14年に旭日小綬章、23年に紫式部文学賞を受章。18年には日本人3人目として児童文学の「小さなノーベル賞」と言われる国際アンデルセン賞・作家賞を受賞するなど、世界的な児童文学作家として評価されている。
「誰よりも自分が楽しむこと」をモットーに執筆を続けているいっぽうで、近年は、鎌倉の自宅ではテーマカラーである「いちご色」に囲まれ、カラフルな眼鏡とワンピースがトレードマークになるなど、おしゃれなライフスタイルや人生観にも注目が集まっている。
今回の映画は、2020年から22年にかけてNHK Eテレにて全10回にわたり放送された「カラフルな魔女〜角野栄子の物語が生まれる暮らし」をもとに、新たに撮影し再編集したものとなる。語りは、レギュラー番組で角野をアシストしてきた女優の宮﨑あおい。監督は、レギュラー番組でも構成・演出を担当し、角野との信頼関係を築きあげてきた宮川麻里奈で、音楽は、ロンドンを拠点に活躍する作曲家の藤倉大だ。
「想像力こそ、人間が持つ一番の魔法」と語る角野栄子とはどういう人物なのか? 今回の映画を通じ、88歳でも夢いっぱいな物語を生み出し続ける角野の秘訣に注目したい。