日本から国別最多の6名が選出。「ロエベ財団 クラフトプライズ 2023」がファイナリストを発表

ロエベ財団が2016年より行っている「ロエベ財団 クラフトプライズ」。その第6回のファイナリスト30名が発表された。

リアム・リー Chair 11 フェルトメリノウール、ポプラ合板

 現代のクラフトマンシップにおける卓越性、芸術性、革新性を称えるために、2016年にロエベ財団によって創設された「ロエベ財団 クラフトプライズ」。その第6回のファイナリスト30名が発表された。

 今年は、117の国と地域の職人から2700以上の応募作品があり、専門家委員会によって16ヶ国からなるファイナリストが選出。例年応募者がもっとも多い日本からは、国別最多の6名のファイナリストが選ばれた。

 選ばれたファイナリストは、陶芸、木工、テキスタイル、家具、紙、籠細工、ガラス、金属、ジュエリー漆、 革、製本など、様々な分野や原料で作品を制作している作家たち。審査員は、技術的な達成度、技能、革新性、芸術的なビジョンなどの観点から審議を行い、もっとも優れた作品を選び出したという。

稲崎栄利子 Metanoia セラミック
本間健司 Contours of Past 2022 日本の漆の木、漆、研磨粉

 今回の選考について、ロエベ財団は声明文で「本質から熟考し時間をかけたテクニックと、巧みな素材操作を探求した作品が選ばれた」としつつ、次のように述べている。

 「今回の候補作には思いがけないかたちや色彩が登場し、見る者に遊び心と驚きを与えている。トロンプルイユ(だまし絵)の技法を用いたものでは、一見するとある素材でできているように見えて、よく見るとまったく別の素材であるなど、予想を覆すような作品が目を惹いた。また、光や素材、表面との関係を考察する作品も多く、素材とかたちを巧みに操って、反射特性を効果的に変化させて動きのある作品に仕上げている」。

アランダラッシュ&テロル・デュー・ジョンソン Desert Paper 18 銅粉、ジュートパルプ紙

 ファイナリストの作品は、5月17日〜6月18日の会期でニューヨークのノグチ美術館にあるイサム・ノグチのスタジオで展示される予定。昨年、改修計画などを発表したイサム・ノグチのスタジオは、今回のプライズを以て初めて一般公開される。

 なお、5月16日にノグチ美術館で開催されるクラフトプライズ展のオープニングで受賞者が発表される予定。デザイン、建築、ジャーナリズム、評論、美術館の学芸員など、各界の第一人者13名で構成される審査委員会によって決定される受賞者には賞金5万ユーロが授与される。

ギオルギ・ダニベガシュヴィリ Naked 絹、手漉き紙

Exhibition Ranking