ニューヨーク市文化局(DCLA)が、クイーンズ区ロングアイランドシティにある彫刻家イサム・ノグチ(1904〜1988)のスタジオの修復と改修を支援するため、同地区に位置するノグチ美術館に450万ドル(約6億1600万円)の資金を提供することを発表した。
ノグチは、1961年にロングアイランドシティにスタジオを設置。74年に向かいの廃工場と空き地を購入し、その後10年間にわたって作品の展示スペースとして改修し、85年にはイサム・ノグチ庭園美術館(現ノグチ美術館)を開館した。アメリカでは初めての存命アーティストが自作を公開する目的で設立・デザイン・会場構成した同館には、ノグチの彫刻や模型、ドローイング、個人所有品などを紹介する10の展示室や屋外彫刻庭園を備えており、また世界最大のノグチコレクションを所蔵している。
今回の資金により、ノグチのスタジオを初めて一般公開することが可能になる。また、来館者のためのカフェやショップの新設、コレクションやアーカイブの保管・研究のための新施設の建設も計画されているという。
またニューヨーク市は、5つの行政区全体で1億2700万ドル(約174億円)の資金援助を行っており、DCLAの助成金プログラムを通じて市内1000以上の団体に資金を分配している。今回は、ノグチ美術館のほか、クイーンズ美術館、クイーンズ劇場、クイーンズ植物園、ポッペンハセン・インスティテュートなど、クイーンズ全域の文化団体への資金援助も発表している。
文化局長官のローリー・カンボは声明文で、「これらのプロジェクトは、クイーンズ区と5区全体の文化コミュニティに対する市の長期投資の一部だ」としつつ、「クイーンズの並外れた多様性とエネルギーは、その文化団体に反映されている。地域住民や各地からの訪問者が、彼らにふさわしい素晴らしい文化施設を利用できるようになるこれらのプロジェクトに投資できることを嬉しく思う」と述べている。
またニューヨーク市経済・人材開発担当副市長であるマリア・トーレス・スプリンガーは、次のようにコメントしている。「芸術と文化は、ニューヨーク市にとって不可欠なものであり、当市は、もっとも多様な地区であるクイーンズ区の創造的エネルギーを取り込む組織を支援できることを誇りに思う。ノグチ美術館とクイーンズ区の文化団体への新たな資金援助により、文化団体が繁栄し、街の復興を推進し続けるために必要な支援を提供することを約束する」。