アーツ前橋・館長の住友文彦が、今年3月末で退任することが同館ウェブサイトで発表された。
住友は2010年よりアーツ前橋の開館準備に携わり、2013年10月の開館前となる7月には館長に就任。以来、オープンから現在まで10年近く館長を務めてきた。
退任にあたって住友は同館ウェブサイトで次のようにコメント。「ちょうど10年が過ぎ、新しい人にこの役割を渡すべき時期になり、コロナ禍で一旦活動の縮減を余儀なくされること、作品管理の体制を見直すことから新しい体制で再生することが必要と考えました。当面の間は施設の改修工事などをおこない臨時休館しますが、その後、新しい人材の登用によって、この礎の上にさらなる美術館の進化を積み重ねてくれると信じています」。
なお、アーツ前橋は収蔵を視野に入れた借用作品調査の過程で、作品を紛失したことを昨年11月に公表。同館はこれを受け、今年4~6月の3ヶ月間、作品の総点検のために休館することを決めた。
こうした作品紛失問題と今回発表された館長退任人事との関わりについて、前橋市は次のように回答した。「今回の館長退任に関しては、館長が開館準備からアーツ前橋に携わって今年で10年が過ぎたこともあり、退任を含めて検討する話し合いが以前からされていた」。また、前橋市は新館長人事について「現在のところは未定」としている。
作品紛失については、調査委員会「アーツ前橋作品紛失調査委員会」(メンバーは非公表)が現在も調査を継続。3月中旬には報告書を作成し、責任の所在も含めて原因と現状を明らかにしていく予定だ。