数々の文化施設の建築を手がけ、高い評価を受けている建築家・内藤廣。その初となる設計図面集がオーム社より12月23日に刊行される。
内藤廣は1950年生まれ。早稲田大学大学院で吉阪隆正に師事し、その後スペインのフェルナンド・イゲーラス建築設計事務所を経た後、79年から81年にかけて菊竹清訓建築設計事務所に勤務。81年に自身の建築事務所を設立した。
「海の博物館」で日本建築学会賞や第18回吉田五十八賞、芸術選奨新人賞美術部門などを受賞。また「牧野富太郎記念館」で第13回村野藤吾賞を、「高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設」で芸術選奨文部科学大臣賞美術部門を受賞するなど、日本を代表する建築家のひとりとして知られる。
公共建築など大規模なものとなれば、設計図面は1000枚を超えるといわれる。そのなかでも、内藤がもっとも大事にしているのは、「技術やシステム、構造、設備、デザインのすべてを網羅した断面矩計図」だという。本書ではそれらを中心に、要となるディテールや各種詳細図を含む、プロジェクトの最重要と位置づけられた図面のみで構成。内藤自身による解説はもちろんのこと、描き下ろしのドローイングも収録されている。
収録作品は、初期の代表作「海の博物館」から近作となる「日向市庁舎」まで、全18作品。安曇野ちひろ美術館や茨城県天心記念五浦美術館、島根県芸術文化センター、富山県美術館などの美術館建築も含まれている。
判型は大判サイズの「B4判」。大迫力の図面を堪能したい。