2020.6.22

ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに。映画『ある画家の数奇な運命』がこの秋公開

ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに、ドイツの「歴史の闇」と「芸術の光」に迫る映画『ある画家の数奇な運命』が今秋、東京・有楽町のTOHOシネマズシャンテほか全国で公開される。

『ある画家の数奇な運命』ポスタービジュアル (C)2018 PERGAMON FILM GMBH & CO. KG / WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG

 ドイツを代表する世界的な画家、ゲルハルト・リヒター。その半生をモデルにした映画『ある画家の数奇な運命』が今秋、東京・有楽町のTOHOシネマズシャンテほか全国で公開される。

 本作原題は『WERK OHNE AUTOR』(英題は『NEVER LOOK AWAY』)。ゲルハルト・リヒターの半⽣をモデルに祖国 ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫るというものだ。

主人公は、ナチ政権下のドイツで叔⺟の影響から、芸術に親しむ⽇々を送るクルト。ところが、精神のバランスを崩した叔⺟は強制⼊院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋に落ちる。元ナチ⾼官の彼⼥の⽗親こそが叔⺟を死へと追い込んだ張本⼈なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま⼆⼈は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと⻄ドイツへと逃亡する。晴れて美術学校で創作に没頭するが、教授から作品を全否定され、もがき苦しむ。だが、魂に刻む叔⺟の⾔葉「真実はすべて美しい」を信じ続けたクルトは、ついに⾃分だけの表現⽅法を発⾒し新作を完成させる。それは、罪深い過去を隠し続けた義⽗を震え上がらせる作品でもあった─

 本作のモデルとなったリヒターは、1932年ドイツ・ドレスデン(旧東ドイツ)生まれ。ドレスデン芸術大学で美術教育を受けるが、西ドイツ旅行中に出あった抽象表現主義に強い影響を受けた。61年、ベルリンの壁が建設される半年前にデュッセルドルフへ移住し、現在はケルンを拠点に活動。一貫して、「絵画の可能性」を追求し続けている。

 監督を務めるのは、映画『善き人のためのソナタ』で「第79回アカデミー賞外国語映画賞」を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。