2020.6.17

モードを民主化したファッションデザイナー。ピエール・カルダンのドキュメンタリー映画『ライフ・イズ・カラフル!』が今秋公開へ

ブルックリン美術館での回顧展開催など、近年再評価が進むファッションデザイナーのピエール・カルダン。97歳となったいまも現役で活躍するカルダンに初めて密着したドキュメンタリー映画『House of Cardin』が、邦題を『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』として、10月2日より全国順次公開されることが決まった。

『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』より
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 モードを民主化したファッションデザイナーとして世界的に知られるピエール・カルダン(1922~)。昨年から今年にかけてブルックリン美術館で開催された回顧展も記憶に新しい。

 そして今回、97歳となったいまも現役で活躍するカルダンに初めて密着したドキュメンタリー映画『House of Cardin』が、邦題を『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』として、10月2日より全国順次公開される。

 カルダンは、ブルジョワ向けの高級仕立服から脱却し、ファッション業界でいち早く大衆向けの既製服に進出。アルミ箔やビニールなどの未来的な素材を用いた斬新な「コスモコールルック」で若者を熱狂させた。

『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』より

 カルダンの偉業は、モードの民主化に留まらない。世界初となるメンズコレクションの開拓や、国籍も肌の色も関係なしでのモデル起用、そして社会主義国の中国やソ連で初のファッションショーを敢行したことなども挙げられる。ファッション後進国だった日本や、人民服を着ていた中国に先陣を切って乗り込んだカルダンは、装うことの楽しさを世界中に伝えたモード界の革命児だ。

 そんなカルダンが本作で語るのは、ファシズムが台頭する祖国イタリアからフランスへ脱出した記憶に始まり、先鋭的がゆえにファッション界から敬遠された苦悩と反撃。さらにジャンヌ・モローとの運命的な恋や、情熱を注いだ劇場運営、門前払いされた高級レストラン「マキシム・ド・パリ」のリベンジ買収など、波乱万丈な97年間をたどることができる。秘蔵映像や豪華なゲストたちの証言からは、スキャンダラスなデザイナーの素顔が浮かび上がるだろう。