1兆円の拠出も。新型コロナでイギリスやドイツなど各国が文化支援を続々発表。「誰も失望させない」

長引く新型コロナウイルスの影響で、イギリスのアーツ・カウンシル・イングランドが1億6000万ポンド(約212億円)の緊急資金を提供すると発表した。またドイツ連邦政府は、カルチュラル、クリエイティブ、メディアセクターの中小企業や個人に最大500億ユーロ(約6兆円)を支援する。

アーツ・カウンシル・イングランドのサイトより

 長引く新型コロナウイルスの影響で、世界各国の美術館や博物館の休館や、アートフェア・芸術祭の開催中止や延期などが続いている。こうした状況下、アートや博物館、図書館など文化と芸術に関与している個人や組織を保護するため、イギリスのアーツ・カウンシル・イングランド(ACE)が1億6000万ポンド(約212億円)の緊急資金を提供することを発表した。

 その内訳は、ACEが定期的に資金提供するアート組織である「National Portfolio Organisations」に9000万ポンド(約120億円)、それ以外の組織に5000万ポンド(約66億円)、アーティストやクリエイター、フリーランサーなどの個人に2000万ポンド(約26億円)を提供する。

 個人の場合は、公的資金による文化プログラムの実績があれば、最高2500ポンド(約33万円)の助成金を申請することができる。音楽、劇場、ダンス、ビジュアルアート、文学、コンバインドアート、博物館といった分野で働いている振付師、作家、翻訳者、プロデューサー、編集者、フリーランスの教育者、作曲家、ディレクター、デザイナー、アーティスト、クラフトメーカー、キュレーターなどが対象となる。

 募集要項は、3月30日に公表予定。応募者は4月3日までにACEの応募ポータルサイト「Grantium」に登録する必要がある。

 いっぽうドイツ連邦政府は、新型コロナウイルスの影響を受けたカルチュラル、クリエイティブ、そしてメディアを含む中小企業や個人への支援を決定した。

 中小企業には、映画館やクラブ、アーティストスタジオのレンタルなどの運営費をはじめとする緊急財政支援助成金のかたちで、最大500億ユーロ(約6兆円)を提供。また、住宅や暖房の費用を含む生計に関する影響を受けた個人には、最大100億ユーロ(約1兆2000億円)を支援する。

 ドイツ連邦政府における文化とメディアに関する責任者であるモニカ・グリュッタース文化大臣は、「今回合意された複数レベルの保護措置は、連邦政府が文化的および創造的分野におけるCovid-19パンデミックの壊滅的な影響に対抗するために、可能な限りの対策を講じる決意であることを示している」とし、「私たちは誰も失望させない。連邦政府として、数十億ユーロの援助パッケージでこれらの約束を守る」と述べている。

 また、アラビア半島最大級のアートフェア「アート・ドバイ2020」の開催中止を受け、アラブ首長国連邦(UAE)外務省の公共・文化外交部は、同連邦のアーティストによる約40万ドル(約4332万円)の作品を購入。これらの作品は、「Artists in Embassies」というプログラムの一部として世界各国のUAE大使館に設置される予定だという。

 いっぽう、日本政府は文化庁が長官名義で文書を発表したが、具体的な補償については明言されていない。

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