新型コロナウイルスの蔓延で中国・香港全土の文化機関が休館。アート・バーゼル香港はどうなる?

新型コロナウイルスによる肺炎が世界に拡大するなか、中国本土路線の運航便数が激減し、中国全国の文化機関が休館している。このような状況のなか、3月に予定されているアジア最大級のアートフェア「アート・バーゼル香港」は無事開催されるのか?

北京故宮博物院 出典=ウィキメディア・コモンズ

 中国本土で7700人以上(1月30日時点)の感染者が確認され、世界中に蔓延している新型コロナウイルスによる肺炎。その影響で、香港とマカオを含め、中国国内の美術館や文化機関の休館も続々と拡大している。

 北京故宮博物院(紫禁城)や中国国家博物館をはじめ、中国の国立博物館と美術館は無期限に休館すると発表。中国の春節連休に入っている公立や私設美術館の多くも、再開の延期を発表した。加えて、ピエール・ド・ムーロンや艾未未らが設計した北京国家体育場や、万里の長城、そして上海ディズニーランドなど、大勢の人が訪れる観光地も一時的に閉鎖されている。

 いっぽう、香港では今週から、博物館、美術館、競技場など公共の集まる場所は無期限に閉鎖。また、香港政府は鉄道や航路による中国湖北省からの入境を禁止し、中国人の個人や団体観光ビザの発行も停止している。香港の航空最大手キャセイパシフィック航空は、傘下のキャセイドラゴン航空とともに中国本土路線の運航便数を50%以上削減し、武漢空港の発着便を3月末まで欠航にしている。

アート・バーゼル香港2019の様子 © Art Basel

 これらの状況は、中国本土をはじめとする海外からの顧客に大きく依存しているアート・バーゼル香港にもさらなる影を落とすだろう。

 昨年6月以来、香港では大規模デモが多発し、政治的緊張が高まっている。「artnet」の報道によると、本月、SCAI THE BATHHOUSEやルクセンブルク&ダヤン、タイラー・ローリンズ・ファイン・アートはアート・バーゼル香港に出展のキャンセルを申し出たという。また、リッソン・ギャラリーやレビー・ゴルビー・ギャラリー、Blum & Poeなど24のギャラリーは、来場者の減少と表現の自由への懸念が高まるなか、同フェアに出展料の50パーセントディスカウントを要求した。

 アート・バーゼルは先週、美術手帖の取材に対し、新型肺炎が「3月のフェアに影響がおよぶとは思わない」とコメントを寄せている。同フェアは無事開催されるのか、状況を注視したい。

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