アート・バーゼル香港が2020年の出展者リストを発表。香港情勢の改善なるか?

政治的緊張が高まりつつあるにもかかわらず、アート・バーゼル香港が、2020年の出展ギャラリーのリストを発表した。31の国と地域から242のギャラリーが出展する今回のフェアは、2020年3月19日〜21日に開催される。アート・バーゼルの50周年を記念するアートプロジェクトも来年、香港、バーゼル、マイアミビーチを通して展開予定だ。

 

アート・バーゼル香港2019 (c) Art Basel

 今年6月以来大規模デモが多発し、政治的緊張が高まりつつある香港。この状況のなか、アジア最大級のアートフェアであるアート・バーゼル香港が、2020年の出展ギャラリーのリストを発表した。

 20年3月19日〜21日に開催されるフェアでは、31の国と地域から242のギャラリーが出展。そのうち、前川強や白髮一雄など「具体美術協会」のアーティストを取り扱うアクセル・フェルフォート(アントワープ)や、バンコク・シティシティギャラリー(バンコク)、ファインアーツ・シドニー(シドニー)、デヴィッド・ルイス(ニューヨーク)、サウスアード・リード(ロンドン)などは今回初参加となる。

アート・バーゼル香港2019 © Art Basel

 メインセクションとなる「ギャラリーズ」には、これまで「インサイト」や「ディスカバリー」で展示をしてきた、ゲバリー・ギャラリー(ロサンゼルス)やソシエテ(ベルリン)、スターギャラリー(北京)などが初めて参加。合計196のギャラリーが参加するこのセクションでは、絵画、彫刻からインスタレーション、デジタル作品まで、すべてのメディアの作品を紹介。また、小規模のギャラリーをサポートするため、バーゼルとマイアミビーチで披露された変動制価格モデルも適用されるという。

 アジア・太平洋地域のアーティストを紹介する「インサイト」セクションでは、それらのアーティストの個展あるいは2人展を通し、同地域の美術の文脈を探る。アクセル・フェルフォートは、韓国アーティストのキム・スージャの個展を開催。上海のバンク・ギャラリーは、中国アーティスト・施慧(シ・フェイ)が自身の師匠であるマリン・ヴァルバノフの作品と対話するような作品を展開する。

アート・バーゼル香港2019 © Art Basel

 新進アーティストを個展形式で紹介する「ディスカバリー」セクションには、25のギャラリーが参加予定だ。カプセル上海は、香港アーティスト・陳麗同(リーリー・チャン)による新しいプロジェクト「Pallet in Repose(Resurfacer)」を展開。ファインアート・シドニーやデヴィッド・ルイス、プロジェクト・ネイティブ・インフォーマントは、それぞれヨナ・リー、アーティストデュオ・フェリックス・バーンスタインとギャビ・ルービン、フロ・ブルックスによる新作やパフォーマンス作品を発表する。

 なお、アート・バーゼルは来年、その設立50周年の節目の年を記念し、全3ヶ所のフェアで一連のアートプロジェクトを展開する予定だ。20年3月香港を皮切りに、6月のバーゼルへ続き、12月のマイアミビーチに結実するこのプロジェクトでは、ベルリンを拠点に活動するキュレーター、カスパー・ケーニヒがディレクターに就任。香港でのプロジェクトは、今年の第58回ヴェネチアビエンナーレ・香港館のキュレーションをしたクリスティーナ・リーが担当する。

アート・バーゼル香港2019 © Art Basel

 アート・バーゼルは先月に次のような声明文を発表している。「現在の状況にもかかわらず、香港はアジアでフェアを開催するのに最適な場所であり続けており、大陸の金融センターとしての主導的な地位と、活気に満ちた地域文化シーンを持っています。とはいえ、状況が微妙で絶えず変化していることは理解しています。引き続き状況を注意深く観察し、すべての出展者と緊密に連絡を取り続けます。今後もスタッフ、出展者、来場者の安全をつねに最優先事項にしていきます」。

 香港をめぐる情勢で混乱が続くなか、アジア最大のフェアが無事開催されるのか。今後の状況を注視したい。

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