東京・丸の内の三菱一号館美術館が、来年開館10周年を迎えるのを前に、年間スケジュールを発表した。
三菱一号館美術館は、三菱が1894年に建設した「三菱一号館」(ジョサイア・コンドル設計)を復元した赤煉瓦の建物に2010年開館。19世紀後半~20世紀前半の近代美術を主題とする企画展を開催してきた。
2020年度は、その節目を記念する3つの展覧会を開催する。
皮切りとなるのは「開館10周年記念 画家が見たこども展―ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン」(2月15日~6月7日)だ。19世紀末パリの前衛芸術家グループ「ナビ派」の画家たちが追求した親密なテーマのなかから「子供」に焦点を当て、都市生活や近代芸術と「子供」との関係を検証。フランス、ル・カネのボナール美術館の全面協力のもと、国内外の美術館および当館の所蔵品から、ボナール、ヴァロットン、ドニ、ヴュイヤールらナビ派を中心とした油彩・版画・素描・挿絵本・写真等約100点を展覧予定。
続く「三菱創業150周年記念 三菱の至宝展」(7月8日~9月22日)では、初代岩崎彌太郎から小彌太に至る、三菱の事業とともにあった社会貢献の歴史をたどりつつ、静嘉堂、東洋文庫、三菱経済研究所の所蔵する国宝、重要文化財を含む美術工芸品、古典籍などを展示。国宝《曜変天目(「稲葉天目」)》を含む作品群100点余りが並ぶ、貴重な機会となる。
10周年の最後を飾るのは、「開館10周年記念 1894 Visions―ルドン、ロートレックとソフィ・カル(仮)」(10月24日~2021年1月17日)。旧三菱一号館が竣工し、 ルドンが色彩の作品を初めて発表した年である「1894年」に注目し、三菱一号館美術館と岐阜県美術館の所蔵作品を中心に、国内外の美術館の油彩や版画を展覧。開館以来初めての試みとして、フランスを代表する現代アーティストのソフィ・カルとコラボレーションを実施し、ルドンの《グラン・ブーケ(大きな花束)》から着想を得た新作を展示するという。