2019年3月29日に乳がんのため亡くなった、フランス映画界を代表する監督であり美術家としても活躍したアニエス・ヴァルダ。今回、12月よりヴァルダの遺作『ヴァルダ・バイ・アニエス』(原題)が、シアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開されることが決定した。
19年2月のベルリン国際映画祭で本作が特別上映された際は、ヴァルダ監督本人も登壇。90歳にして創作意欲の衰えぬ元気な姿を、観客の前に見せた直後の訃報であった。
本作は、ヌーヴェル・ヴァーグ誕生を予見したといわれたヴァルダの長編劇映画デビュー作『ラ・ポワント・クールト』(1955)から、アーティスト・JR(ジェイアール)と共同監督し、主演も務めたドキュメンタリー映画『顔たち、ところどころ』(2017)まで、その半世紀以上にわたる創作活動を、ヴァルダ自身が情熱とユーモア溢れる口調で語り尽くしながら、貴重な映像とともに綴る集大成的セルフ・ポートレイト。
また今回の公開に際しては、19年の第72回カンヌ国際映画祭のメインビジュアルとしても話題となった『ラ・ポワント・クールト』撮影風景、そしてヴァルダ自身が事務所兼住居を構えていたパリ14区の通りを点描したドキュメンタリー『ダゲール街の人々』(1975)の2作も同時公開される。いずれも日本においては正式劇場公開されておらず、貴重な鑑賞の機会となる。