ヌーヴォー・ロマンの旗手、アラン・ロブ=グリエによる脚本を、ヌーヴェル・ヴァーグ左岸派の代表格であるアラン・レネが監督したモノクロ映画『去年マリエンバートで』(原題:L'Année dernière à Marienbad)の4Kデジタルリマスター版が、10月25日よりYEBISU GARDEN CINEMAほかで公開される。
本作は、「映画史上もっとも難解な映画」と語られるいっぽうで、1961年の第22回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞するなど、後世の映画作家に大きな影響をおよぼした傑作だ。
ココ・シャネルが劇中衣装をデザインしたことでも有名であり、今回の完全修復も、シャネルのサポートによって実現。半世紀の時を経て蘇った4Kデジタルリマスター版は、2018年のヴェネチア映画祭で上映され、大きな話題を呼んだ。
本作の舞台は、美しい宮殿のようなホテル。時代も国も不明だ。ホテルの宿泊客は、女Aと男Xと男Mの3名。MはAの夫で、XはAと面識がある。ホテルで再会し、XはAに「去年、お会いしましたよね」と語りかけるが、Aはまったく記憶しておらず、Xを拒絶し続ける。しかしAはXの話を聞くうちに、次第に朧げな記憶を取り戻していく。その様子を影で観察するMは、「去年マリエンバートで」実際に何が起こったのかを知っている。