2017年に計画が発表され、今年春にオープン予定だったアジア待望の美術館プロジェクト、「ポンピドゥー・センター上海(ウェストバンド)」。その開館予定が見えてきた。同館関係者によると、美術館のオープンは今年11月を目指しているという。
本プロジェクトは、パリのポンピドゥー・センターが上海・西岸(ウェストバンド)エリアの開発を手がける「ウェストバンド・グループ」と共同で行うもの。2019年から5年間にわたり、現在建設中の上海「西岸美術館(ウェストバンド・ミュージアム)」をポンピドゥーのポップアップ的な別館としてオープンし、同センターのコレクションや中国の現代美術を紹介する20以上の展覧会やイベントを開催予定となっている。
同センターは17年当時の声明で、本プロジェクトは「文化分野における中国とフランス間の長期にわたる最高水準の文化交流プロジェクトです」とし、「ポンピドゥー・センターは、その専門知識やサポートを提供することで、このプロジェクトに貢献します。キュレーションや作品保存、パブリック・アート教育などのコラボレーションを通して顧問の役割を果たし、その国際的な普及を促進します」とコメントしていた。
ロンドン出身の建築家、デイヴィッド・チッパーフィールドが設計した西岸美術館は、2万3400平米の面積を持ち、上海を代表するアートフェア「ウェストバンド・アート&デザイン」の会場である「西岸芸術中心(ウエストバンド・アートセンター)」や、今年オープンした美術館「上海油罐芸術中心(TANK Shanghai)」などと隣接している。
同館が位置する西岸エリアは、かつて航空機製造やセメント産業で知られていた元工業地帯であり、現在は上記の美術機関に加え、「龍美術館(ロン・ミュージアム)」や「余徳耀美術館(ユズ・ミュージアム)」「上海撮影芸術中心(センター・オブ・フォトグラフィ)」などの美術館、劇場、ギャラリーが集まる「文化的回廊」となっている。
2007年にポンピドゥー・センターは上海に美術館を設立することを計画していたが、中国政府との交渉は失敗。14年にスペインのマラガに別館をオープンし、現在ベルギー・ブリュッセルと韓国・ソウルにも別館を建設もしくは検討している。
グッゲンハイム美術館やルーヴル美術館、V&Aなど世界の主要な美術館が海外に分館を新たにオープンし続けているなか、ポンピドゥー・センターは上海やアジアのアートシーンにどのような変化をもたらすのか、期待したい。