勧誘ビデオに作品を無断使用。アニッシュ・カプーアが全米ライフル協会に勝訴

シカゴのミレニアム・パークに設置された自身の作品《クラウド・ゲート》を勧誘ビデオに無許可で使用したとして、著作権侵害で全米ライフル協会(NRA)に訴訟を起こしていたアニッシュ・カプーア。12月6日、カプーアは自身のウェブサイトで「我々はNRAに勝利した」との声明を発表した。

シカゴのミレニアム・パークにあるアニッシュ・カプーア《クラウド・ゲート》 (C) Pixabay

 アニッシュ・カプーアは1954年生まれのアーティスト。2012年には構造デザイナーのセシル・バルモンドとロンドンオリンピックの記念モニュメントの設計を担当し、15年にはヴェルサイユ宮殿で個展を開催するなど、国際的に活動してきた。

 カプーアが2006年に発表したステンレス製のオブジェは《クラウド・ゲート》(2006)は、アメリカ・シカゴのミレニアム・パークに設置されるパブリック・アート。高さ10メートル、横幅20メートルにおよぶ本作は、カプーアのアメリカでの初めての屋外パブリック・アート作品でもある。

 そんな《クラウド・ゲート》が、アメリカにおける銃製造業者や銃愛好家の団体「全米ライフル協会(NRA)」の勧誘ビデオ「The Clenched Fist of Truth」に無断で使用されたとして、今年6月、著作権侵害でNRAを訴えていたカプーア。

 そして12月6日、カプーアは自身のウェブサイトで「我々はNRAに勝利した」として、ビデオから《クラウド・ゲート》が削除されたとの声明を発表した。カプーアは、当該のビデオを、アメリカの社会の恐怖、敵意、分裂を促すための、誇張された「嘘の暴力」と表現。そして、「著作権侵害での勝訴だけではなく、アメリカや他の場所で銃暴力に反対する人を支持するという宣言書である」と表明している。

 今回の裁判を経てNRAは、5つのチャリティ団体への寄付を通して銃暴力の被害者に総額100万ドル(約1億1000万円)を支払うことが決定した。

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