プロジェクトの引き受けを決意した背景
「1年半ほど前に突然メールが届いた」と、渋谷はオファー当時を振り返る。送り主である、リヴィウ市文化戦略室アーティスティックディレクターのボフダン・シュミロヴィチは、渋谷の作品や制作活動のコンセプトを深く理解したうえで、リヴィウ側のコンセプトとの親和性を確信していた。さらに、渋谷の亡くなった妻がウクライナ系ユダヤ人の血を引いていたという巡り合わせもあったという。

渋谷がウクライナでの公演を決意した理由について、次のように語った。「アンドロイド・オペラは、自分自身の死の経験や悲しみ、痛みから回復するためにつくった作品でもある。アンドロイドが主役として成立する舞台においては、それを実現するために多くの協力者と連携する必要が出てくる。そのつながりによって作品をつくり上げるプロセスそのものが、自身の精神の回復につながった。文化芸術には人をケアする力がある」。また文化芸術に求められる役割については「戦争をはじめとした対立を直接止める力はないかもしれないが、その先にある未来を思い描きシミュレーションする機能を持っている」。
また、戦時下にあっても劇場を新しくオープンさせ、連日列をつくるリヴィウ市民の「文化を絶対に止めない」という姿勢に、日本の現状を省みながら強い衝撃を受けたことも、背中を押す要因となったと語った。



















