森美術館が2026年度、ロン・ミュエクと森万里子の大規模個展を開催へ【2/4ページ】

 ミュエクは人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ねて制作を続けてきた。その作品は洗練とともに孤独、か弱さ、不安、レジリエンスといった人間の内面的な感情や体験を巧みに表現している。実際の人物よりもはるかに大きく、あるいは小さくつくられるその彫刻は、スケールの相対性や人々の知覚を揺さり、人間の身体、そして存在そのものについて問いかける。

ロン・ミュエク 枝を持つ女 2009 ミクストメディア 170×183×120cm 所蔵=カルティエ現代美術財団 展示風景「ロン・ミュエク」(韓国国立現代美術館ソウル館、2025) 撮影=ナム・キヨン 画像提供=カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館

 本展は、ミュエクとカルティエ現代美術財団と森美術館が共同主催するもので、2023年にパリの同財団で開催されたものが巡回するかたちとなる。日本では、08年に金沢21世紀美術館で回顧展が開催されて以来、2度目の個展。大型作品を中心に、初期の代表作から近作まで10点余りを展示。

 さらにフランスの写真家・映画監督のゴーティエ・ドゥブロンドによる作家のスタジオと制作作業を記録した貴重な写真作品と映像作品も併せて公開し、作家の制作を包括的に紹介する。