特別展「第77回正倉院展」が奈良国立博物館で開催。瑠璃坏や蘭奢待も開陳【3/4ページ】

 六曲屏風の《鳥毛篆書屛風》は、草花や飛鳥などの地文様の上に、八文字の篆書と同字の楷書を交互に表している。楷書は吹き付けと点描で、篆書はキジなどの羽毛を貼り付け、金箔を散らしている。君主にとっての戒めの格言が表されており、聖武天皇の身近にある調度品であったとされる。

鳥毛篆書屛風(第1扇)

 《花氈》は大唐花文様を全面に表したフェルトの敷物で、唐からの舶来品とされる。細やかに染められた羊毛で複雑な文様が表されており、その色彩表現の豊かさから正倉院伝来の花氈を代表する宝物だ。

花氈

 《天平宝物筆》は752年(天平勝宝4年)の東大寺大仏の開眼に用いられた特大の筆であり、1185年(文治元年)の再興時の開眼法要でも、後白河法皇が用いている。古代仏教を象徴する行事で使われた、歴史の証人といえる。

天平宝物筆