特別展「第77回正倉院展」が奈良国立博物館で開催。瑠璃坏や蘭奢待も開陳【2/4ページ】

 《牙笏》は、天皇や役人が朝廷で威儀を正すために手に持つ笏(しゃく)だ。本品は『国家珍宝帳』に記載された象牙製のもので、天武・持統系の六代の天皇に継承された厨子に納めれていたとされる、正倉院に伝わる笏のなかでも格別の由緒を誇るものだ。

牙笏

 《木画紫檀双六局》は、聖武天皇が愛用していた双六盤だ。表面には木画という寄木細工の技法で鳥や唐草の装飾文様が凝らされており、ツゲ、紫檀、黒檀、象牙、鹿角、竹といった多彩な素材を用いられている。彩り豊かなモチーフとともに、高度な技術も見どころとなる。

木画紫檀双六局

 《平螺鈿背円鏡》は聖武天皇のゆかりの鏡20面のうちのひとつ。南海のヤコウガイの貝片を用いた螺鈿で背面が彩られており、地にはトルコ石やラピスラズリなど、シルクロードの各地で産出した素材を用いて中国で制作されたこともわかっている。

平螺鈿背円鏡