「横尾忠則 連画の河」が世田谷美術館で開催。新作油彩画約60点を展覧【3/3ページ】

 横尾忠則が絵画制作を通して長らく希求してきた、「一貫したアイデンティティから解放され、変幻自在な自己と出会い続けたい」という思いが、本展では「連画」という遊びのかたちで試みられている。

 他者の言葉を引き取りつつ歌を詠み、それをまた別の他者に託すという「連歌」を、絵画によって、しかもひとりだけで、続けることはできるのか。昨日の自分を、本当に他人のように受けとめられるのか。新作群からは、その問いに横尾がどのように応答したかが見えてくるだろう。

横尾忠則 郷愁 2024 作家蔵
横尾忠則 The end of life is moral 2024 作家蔵

 なお、会期中には講演会「横尾忠則、連画の魅力」(講師:建畠晢)のほか、横尾も出演した映画『Mishima: A Life in Four Chapters』(日本未公開)のために作曲家フィリップ・グラスが創造した楽曲を、日本初演となるピアノ・ソロ完全版で滑川真希が演奏するコンサート「Yokoo × Mishima × Glass」、テリー・ライリーとSARAが閉館後の美術館で行う即興ライブ「Terry Riley & SARA - Musica Geometrica Sagrada -」なども予定されているので、あわせてチェックしてほしい。

テリー・ライリー 2022年、豊島横尾館にて
© Masahiro Ikeda

編集部