横尾忠則が、神戸市にある横尾忠則現代美術館に対して905点もの作品を寄贈した。
同館は、横尾作品のみを展示する美術館。横尾が神戸新聞社に勤めていた当時に住んでいた場所からもほど近い、兵庫県立美術館王子分館(旧兵庫県立近代美術館)の西館をリニューアルするかたちで開館した。開館以来、横尾作品を多彩な角度で見せる展覧会を多数開催してきた。また、膨大に有する横尾の関連資料を保管するアーカイブルームも備えている。
今回の寄贈作品は、これまで寄託作品として横尾忠則現代美術館の収蔵庫で保管されていたもの。内訳は絵画535点、版画50点、ポスター205点、素描86点、コラージュ23点、立体3点、テクナメーション3点となっており、作品評価総額は33億339万円に上る。
同館は美術手帖に対し、今回の寄贈の背景について以下のようなコメントを寄せた。「横尾氏は、自らの作品は個人に秘蔵されるのではなく、広く公開され、多くの方に楽しんで欲しいとの思いを持たれている。横尾忠則現代美術館は、横尾氏から作品の寄贈・寄託を受けて2012年11月に開館した。以来11年間に33本(年約3本)の展覧会を開催し、横尾作品の様々な魅力を紹介・発信してきた。これまでの取り組みが横尾氏にも一定評価され、『自分の作品を託して大丈夫』との信頼を得たことが、今回の寄贈につながったと考える」。
またこの寄贈によって、「名実ともに世界でもっとも充実した横尾作品コレクションを所蔵する美術館となった」としている。