柳幸典、ミラノでヨーロッパ初の大回顧展「ICARUS」を開催。新作とともに壮大なインスタレーションが登場【3/3ページ】

 ナヴァテの中心空間には巨大な迷路のような作品《Icarus Container 2025》(2025)が展示される。この作品は、複数のコンテナで構成され、建物の外にあるタワーと連結しており、自然光が差し込む設計となっている。また、来場者はこの迷路を歩‬きながら、三島由紀夫の自伝的エッセイ『太陽と鉄』(1968)から引用された詩「イカロス」の一節に出会うことになる。詩の一部は鏡に刻まれており、鏡の反射によって独特の視覚体験が生み出される。

柳幸典 Icarus Container 2018 第21回シドニー・ビエンナーレ‬
‭© YANAGI STUDIO, Courtesy of the artist and Biennale of Sydney‬

 展覧会は《Hinomaru Illumination 2025》(2025)というネオンインスタレーションへと続く。この作品は、日本の国旗「日の丸」を水面に反射させ、その象徴性を問い直す動的な要素を取り入れている。

柳幸典 Hinomaru Illumination 2010 ART BASE 百島(尾道)
© YANAGI STUDIO, Courtesy of the artist‬
柳幸典 Hinomaru Illumination 2010 ART BASE 百島(尾道)
© YANAGI STUDIO, Courtesy of the artist‬

 展覧会の最後には、柳の代表作《The World Flag Ant Farm 2025》(2025)が展示される。この作品は、国連加盟国193、非加盟国7を含む200の国家を表す旗が並べられ、透明なアクリルボックスに収められている。中ではでは無数の蟻が砂粒を運びながら通路をつくり、国家のアイデンティティや国境が徐々に解体されていく様子を描いており、蟻の動きはこれら‬の象徴の脆弱性をアイロニックに露わにしている。

柳幸典 The World Flag Ant Farm 1990 1990 ベネッセハウス ミュージアム(直島)
© YANAGI STUDIO, Courtesy of the artist and Benesse Holdings, Inc., ‬‬Okayama‬
柳幸典 The World Flag Ant Farm 1990 1990 ベネッセハウス ミュージアム(直島)
© YANAGI STUDIO, Courtesy of the artist and Benesse Holdings, Inc., ‬‬Okayama‬

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2025.02.14 - 03.28
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