イタリア大手企業ピレリによる文化支援
ピレリ・ハンガービコッカはミラノ中央駅から車で北に10分ほどのビコッカ地区にある。かつて19世紀に始まった工業地域があり、主に農機具やボイラー、蒸気機関車や電気機関車、第一次世界大戦中には飛行機や発射体などの戦争用製品も造られていた。1980年代後半から再開発が進められ、近隣には90年代に建てられたミラノ・ビコッカ大学都市が見える。
ミラノが拠点のピレリ社(Pirelli & C. S.p.A. )の現グループCEOでピエリ・ハンガービコッカの理事長も務めるマルコ・トロンケッティ・プロヴェーラ(Marco Tronchetti Provera)の方針により、2004年に約1万5000平米もある鉄道車両工場跡地は、現代アートのための施設へと変身した。別に存在するピレリ財団はグループの歴史的遺産の保護を担っており、ピエリ・ハンガービコッカ財団とそのアートセンターの運営は同社が技術革新とともに現代アートの普及にも力を入れていることを示す。
2012年にはアートセンターとしての役割を強化するため、スペイン・バレンシア現代芸術院 、ポルトガル・セラルヴェス現代美術館、イギリス・テートモダンの3美術館でディレクターを歴任したビセンテ・トドリ(Vicente Todolí)を芸術監督に任命した。常設展示として、アンセルム・キーファーによる大型インスタレーション《The Seven Heavenly Palaces 2004-2015》を広く公開すると同時に、高い水準のキュレーションによる企画展を年に4展のペースで開催している。