藤田貴大が主宰する「マームとジプシー」が、最新作『Curtain Call』を5月8日〜11日の期間で上演する。
本作は、藤田が挑んだことのない新たな試みであり、「演劇」という営みそのものをテーマに据えた最新作だという。
本作は、ある俳優が劇場に到着して開演時間を迎えるまでの数時間を、藤田独自の視点でリアリティを持って描くもの。俳優はウォーミングアップを行い、衣装やヘアメイクを整え、舞台監督、照明、音響などのスタッフが準備を進めるなか、それぞれにたわいのない会話が交わされ、やがて開演に向けて全員が集中していく。作中での開演がおとずれると同時にこの上演は終わりを迎える。
藤田はこれまでに、過去の自身の記憶、時代や土地にまつわる文献をもとにした史実、様々な作家の言葉、寓話などあらゆるテーマを扱い、多種多様な作品が持つモチーフを自身の中で咀嚼し、それらをフィクションとして演劇作品へ昇華させてきた。今回はそのフィクションというフィルターを外し、「演劇」という、ありのままの自身の「営み」を舞台上で直接見せることに挑戦。藤田の過去のどの作品とも異なる形で観客との新しい対話を試み、演劇が持つ可能性の拡張を目指す。