奈良・東大寺旧境内にあり、9000件もの宝物を1300年近く守り伝えてきた正倉院。毎年秋に宝物を一般公開する「正倉院展」は、多くの人々で賑わうことで知られている。その「宝物」を、まったく新しい方法で紹介する展覧会「正倉院『THE SHOW』-感じる。いま、ここにある奇跡-」が、大阪歴史博物館(2025年6月開幕予定)と上野の森美術館(2025年9月開幕予定)で開催される。
本展は、宮内庁正倉院事務所が全面監修。最新のデジタル制御による映像・音楽・照明と、宮内庁正倉院事務所が研究・製作を進めてきた「再現模造」の数々(現代の名工達が宝物本来の姿を精巧に再現した作品群)のコラボレーションで、正倉院の世界の新たな感じ方・楽しみ方を提案しようというものだ。
正倉院事務所では、宝物の正確な情報を後世に残すため、最新のテクノロジーを用いて360度から宝物のスキャンを行い、高精細な3Dデジタルデータを取得する取り組みが行われている。 本展では3Dデジタルデータに演出を施した展示により、宝物の細部や質感をよりリアルに紹介するという。
また再現模造にも注目だ。正倉院事務所では、宝物の素材・構造・技法を忠実に再現して本来の姿を甦らせることを目的に、再現模造の製作を行っており、本展では最新のデジタル制御による映像・音楽・照明との組み合わせて展示することで、新たな鑑賞体験を提供する。
なお、本展では正倉院宝物がアーティストともコラボレーション。「幅広いジャンルで活躍する現代アーティスト」が、正倉院にインスピレーションを受けて作品を制作・展示するという。今後の詳細情報を待ちたい。
開催に際し、宮内庁正倉院事務所長・飯田剛彦は次のようなメッセージを寄せている。「この度、<正倉院「THE SHOW」>が開催の運びとなりました。奈良、東大寺旧境内にある正倉院は、9000件もの宝物を1300年近く地上で守り伝えた、まさに“奇跡の宝庫”です。毎年秋には正倉院展が開かれていますが、今回は、この実物の観覧とは異なるアプローチ、すなわち最新のデジタル技術を駆使した手法で、皆様が体験したことのない、宝物の楽しみ方を提案させていただきます。宝物の価値をより深く味わい、皇室のかけがえのなさや伝来を支えた人々の想いなどにも触れていただく機会になれば幸いです」。