今週末に見たい展覧会ベスト11。梅津庸一、グッチ、ハニワからモネまで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「GUCCI COSMOS」(京都市京セラ美術館)展示風景より

もうすぐ閉幕

「梅津庸一 クリスタルパレス」(国立国際美術館

展示風景より

 美術家・梅津庸一(1982〜)の、2000年代半ばより始まる仕事を総覧する大規模個展「梅津庸一 クリスタルパレス」は、大阪・中之島の国立国際美術館で10月6日まで。会場レポートはこちら

 梅津庸一は1982年山形県生まれ。東京造形大学絵画科卒業。ラファエル・コランの代表作《フロレアル》を自らの裸像に置き換えた《フロレアル(わたし)》(2004〜07)や、同じく自身がモデルとなり、黒田清輝の《智・感・情》(1897〜90)を4枚の絵画で構成した《智・感・情・A》など日本の近代洋画の黎明期の作品を自らに憑依させた自画像をはじめとする絵画作品を発表してきた。

 本展は、こうした梅津の活動の軌跡をたどる試みとなる。梅津が今回の展覧会タイトルに選んだ「クリスタルパレス」は、1851年にロンドンでの万国博覧会に登場し、後には巨大な温室を含む複合施設として転用された鉄骨とガラスのパビリオンのことだ。美術史を深く参照しつつ、多種多様な仕事ぶりを「花粉」に例えてきた梅津のこれまでの足跡とも重なり合う展覧会だ。

会期:2024年6月4日~10月6日
会場:国立国際美術館 地下3階展示室
住所:大阪市北区中之島4-2-55
開館時間:10:00~17:00(金土~20:00) ※ 入場は閉館の30分前まで 
料金:一般 1200円 / 大学生 700円

「大地に耳をすます 気配と手ざわり」(東京都美術館

展示風景より、ミロコマチコによる奄美大島をイメージした新作インスタレーション(内部)

 東京・上野の東京都美術館で、自然に深く関わりながら制作を続ける現代作家5人を紹介する企画展「大地に耳をすます 気配と手ざわり」が10月9日まで開催中。参加作家は、川村喜一、ふるさかはるか、ミロコマチコ、倉科光子、榎本裕一。会場レポートはこちら

 国内における様々な地域を拠点に、もしくは足を運びながら制作を行っている作家らが、各々がその土地の人や自然環境、生き物といったものと交感することで、そこから得た感覚やパワー、いままでになかった価値観などから影響を受け、作品に落とし込んだ展覧会となっている。

会期:2024年7月20日~10月9日
会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
開室時間:9:30~17:30(金~20:00)※入室は閉室の30分前まで
料金:一般 1100円 / 大学生・専門学校生 700円 / 65歳以上 800円 / 高校生以下無料

「山下麻衣+小林直人 他者に対して、また他者と共に」(水戸芸術館現代美術ギャラリー

山下麻衣+小林直人 《人が花に対して、また花と共に行う営み》のためのイメージスケッチ 2024

 水戸芸術館現代美術ギャラリーで「山下麻衣+小林直人 他者に対して、また他者と共に」が10月6日まで開催されている。

 山下麻衣+小林直人は、映像作品やインスタレーションによって国内外で活躍するアート・ユニットだ。コントロールの効かない不確かな存在としての自然をわからないままにとらえ、どうにかして関係性を構築しようとする山下+小林の作品では、些細な日常が価値を持ったり、奇跡的な出来事へと転換したりといった場面に少なからず遭遇する。

 本展では、山下+小林による多彩な表現と実践を、最初期の作品や国内未発表作を含め網羅的に紹介し、その全貌を紐解く。また新作として、同センターの場の特性を活かし屋外広場で会期中に巨大な参加型作品を展開。災害やパンデミックを経て人と自然との不安定な関係が可視化され、また世界的な紛争の続く現在において、本展を通して「他者」との関係性を改めて考え、人々がそれぞれに見ている世界への認識を更新し、個々の存在のあり方を問う機会を創出している。

会期:2024年7月27日~10月6日
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
電話:029-227-8111
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、8月12日、9月16日、9月23日は開館)、8月13日、9月17日、9月24日
観覧料:一般 900円 / 高校生以下 無料

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モネ 睡蓮のとき

2024.10.04 - 2025.02.10
国立西洋美術館
上野 - 日暮里 - 秋葉原|東京