葛飾北斎が描いた植物画が集結する特別展「北斎の植物図鑑」が、小布施にある北斎館で開催される。会期は9月4日〜11月10日。
北斎が描いた植物は、桜や朝顔、菊など、四季折々の植物に限らず、大根やりんごといった野菜や果物まで多岐にわたる。細密な筆致からシンプルな線描まで、作品ごとに異なる表情が楽しめる。
本展では、北斎館が所蔵する作品のなかから植物が描かれたものを選び、種類や特徴を「図鑑」のようにまとめて展示。北斎が手がけた100種類以上におよぶ多彩な植物画を一堂に集め、彼が表現した草木や花の魅力を再発見する機会だ。
展示作品には、巴錦(ともえにしき)と呼ばれる菊を描いた肉筆画「菊」が見どころのひとつ。艶やかな色彩と繊細な筆づかいで、生命力あふれる菊が見事に表現されている。
また、北斎の版本にも多数の植物が登場し、見開きいっぱいに描かれた草花は、まるで本物のような質感とみずみずしさが伝わる。展示作品の解説欄には、植物の種類や特徴が記載されており、江戸時代からの植物の親しみ方や、当時の人々に愛された草木についても知ることができるだろう。
さらに、北斎が手本として残した版本は、多くの絵師たちに影響を与えた。そのなかには、北斎の描法を参考にした弟子たちの作品も展示され、彼らが描いた植物の魅力を堪能することができる。本展では、北斎の独自の筆づかいと、彼の影響を受けた絵師たちの作品を比較しながら、その奥深い世界にふれる貴重な機会となる。北斎の植物画が織りなす豊かな自然の美を、ぜひ会場で体感してほしい。