香港のM+で、2019年に逝去した中国系アメリカ人建築家イオ・ミン・ペイ(1917〜2019)の初めての本格的回顧展「I. M. Pei: Life Is Architecture」が開催される。会期は6月29日〜2025年1月5日。
ルーヴル美術館のガラスピラミッドをはじめ、ワシントンDCのナショナル・ギャラリー東館、香港の中国銀行タワー、ドーハのイスラム美術館など、数々の印象的な建物を設計したペイ。本展は、ペイの遺産とその建築事務所を継承するペイコブ・フリード&パートナーズの協力を得て開催されるもので、キュレーションはシャーリー・スーリヤ(M+ デザイン&建築担当キュレーター)、アリク・チェン(Nieuwe Instituut ジェネラル&アーティスティック・ディレクター)が担当している。
7年の歳月をかけて制作された本展では、400点以上のオブジェが展示。なかには、機関や個人が所蔵するオリジナルのドローイング、建築模型、写真、フィルム、その他のアーカイブ資料も含まれている。
展覧会は、ペイの生涯と仕事を6つの分野を通じて紹介。「ペイの異文化の基盤」「不動産と都市再開発」「アートと市民のかたち」「権力、政治、パトロネージ」「素材と構造の革新」「デザインによる歴史の再解釈」といった6章では、彼の建築プロジェクトを社会的、文化的、伝記的な軌跡と対話させ、その人生との関係性を示すという。
また本展では、ペイが設計した11の建築を、7人の国際的な写真家がパンデミック中に撮影した写真も新たに展示。参加写真家は、何兆南(サウス・ホー、香港)、Naho Kubota(ニューヨーク)、李國民(リー・クオミン、台北)、ジョヴァンナ・シルヴァ(ミラノ)、モハメド・ソムジ(ドバイ)、田方方(ティアン・ファンファン、上海)、米田知子(東京/ロンドン)だ。
M+館長のスハーニャ・ラフェルは、本展について次のようにコメントしている。「I.M.ペイほど、M+の中心である異文化交流のビジョンを徹底的かつエレガントに体現している人物はいない。20世紀と21世紀の建築環境をかたちづくったこの伝説的な建築家に捧げられた初の本格的な回顧展を開催できることを光栄に思う。本展では、長いあいだ見過ごされてきた彼のキャリアの重要な側面を浮かび上がらせながら、ペイと彼の貢献を世界中の現代の観客に再び紹介する」。