東京・白金台の東京都庭園美術館の正門横スペースで、特別展示シリーズ「ランドスケープをつくる」よりイリノイ工科大学(IIT)キャンパスのクラウンホールを再読する企画展が開催中だ。会期は3月3日まで。
IITキャンパスは、20世紀のモダニズムを代表する建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(1886〜1969)がマスタープランから構想したアメリカ・シカゴ南部にある大学キャンパスだ。周辺の都市再生事業に則り、段階的な用地買収によって行われてきたキャンパス計画は、市街地のなかに入り込みながら周辺地域と一体的に進められた。
その計画の一環として、建築学部棟の「クラウンホール」を含めた20棟もの建築がミースによって設計。ミースはクラウンホールについて「我々の行った最も明快な構造であり、我々の哲学を表現する最良のものである。(プレスリリースより引用)」と述べており、その思想がもっともよく表れた建築作品と言えるだろう。
本展は、クラウンホールとIITキャンパスを「部分と全体」という視点から読み解くものとなる。30分の1サイズで再現したクラウンホールの模型を中心に、「都市」「建築」「物質」という様々なスケールを横断。物質の集まりが建築という全体をつくり、建築の集まりがキャンパスや都市という全体をつくる、といったミースの一貫した思想が紹介されている。