鳥文斎栄之の世界初大規模展。「サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展」(千葉市美術館)
旗本出身という異色の出自を持ち、美人画のみならず幅広い画題で人気を得た浮世絵師・鳥文斎栄之(ちょうぶんさい・えいし、1756〜1829)。その世界初となる大規模展が、1月6日に千葉市美術館で開幕する。
国内では一般的に知る人の少ない浮世絵師である鳥文斎栄之だが、明治時代には海外で喜多川歌麿についで人気が高く、多くの作品が国外にわたった。早くから作品が国外に流出したため展覧会を開催することが難しかったが、本展ではボストン美術館、大英博物館から栄之作品が里帰りすることで、世界で初めての個展開催が可能となった。
展覧会では、世界に1点しか存在しない錦絵など貴重な里帰り作品のほか、国内の重要文化財、重要美術品も集め、初期の様相から晩年に至るまで、栄之の画業を総覧することができる。
会期:2024年1月6日〜3月3日 ※前期1月6日〜2月4日、後期2月6日〜3月3日
会場:千葉市美術館
住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8
電話番号:043-221-2311
開館時間:10:00〜18:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:1月9日、15日、2月5日、13日、第1月
料金:一般 1500円 / 大学生 800円 / 小・中学生、高校生無料
ファイバーアートのパイオニア。「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」(京都国立近代美術館)
日本を代表するファイバーアーティスト小林正和(1944〜2004)。2024年に生誕80年・没後20年を迎える小林の初回顧展となる「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」が、1月6日より京都国立近代美術館で開催される。
小林は、京都市立美術大学(後の京都市立芸術大学)で漆工を学んだものの、川島織物在職時の「1本の糸との出会い」を起点に、糸を「垂らし」「緩め」「張り」集積させた立体造形作品を発表する。そして、第6回国際タペストリー・ビエンナーレヘの入選を皮切りに、国際テキスタイル・トリエンナーレや国際テキスタイルコンペティションなどでの活躍を通して、国際的に高く評価されるようになった。
本展では、小林の名前が世界に広く知られるきっかけとなった「吹けよ風 /Blow in the Wind」シリーズや、大型インスタレーション作品、初公開のスケッチブックやドローイング、さらにはデザイン作品などを含む約80点が紹介。あわせて小林と同時代を生きてきた作家17名の作品も展示される。
会期:2024年1月6日〜3月10日
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
電話番号:075-761-4111
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし1月8日、2月12日は開館)、1月9日、2月13日
料金:一般 1200円 / 大学生 500円 / 高校生以下無料
大迫力の投影でゴッホの世界に浸る。「ゴッホ・アライブ東京展」(寺田倉庫G1ビル)
2024年1月6日〜3月31日の期間、東京・天王洲の寺田倉庫G1ビルで大規模な没入型展覧会「ゴッホ・アライブ」が開催されている。
これまで99都市を巡回し、900万人以上を動員している本展。世界100都市目の開催地としての東京展では、真っ暗な広い展示室に設置された大壁と床などに大迫力の“ゴッホ”が投影され、まるで自分が作品に溶け込んでいくかのような感覚を体験することができる。
展覧会では、最新技術のマルチチャンネル・モーショングラフィックスと映画館品質のサラウンド音響、そして高精細のプロジェクターを組み合わせることで、体を包み込むような迫力のクラシック音楽が流れるなか、ゴッホ作品の3000以上の画像が展示室のあらゆる場所に最大40台のプロジェクターによって映し出されている。
会期:2024年1月6日~3月31日
会場:寺田倉庫G1ビル
住所:東京都品川区東品川2-6-4
電話番号:0570-550-799
開館時間:10:00~18:00 ※最終入場は閉館60分前まで
休館日:無休
料金:[前売]一般 2800円 / 高大生 1800円 / 小中生 1300円 ※販売は2024年1月5日まで[当日]一般 3000円 / 高大生 2000円 / 小中生 1500円
人間と自然との向きあい方を見直す。「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」(東京都美術館)
東京・上野の東京都美術館で上野アーティストプロジェクト2023「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」と、コレクション展「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」が1月8日に閉幕する。レポート記事はこちら。
前者は、人間以外の自然界のいきものを「うつす」ことに取り組み続けてきた6名のつくり手たちを紹介するもの。小林路子、辻永、内山春雄、今井壽惠、冨田美穂、阿部知暁といった数十年にわたり高い熱量を絶やすことなく、それらの姿を追いかけ続けた/続けているつくり手たちに焦点を当てている。
いっぽうの「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」展は、「動物園」にフォーカスすることで、上野や上野動物園の歴史、そして人間と動物との向きあい方を改めて見直すものとなっている。
会期:2023年11月16日~2024年1月8日
会場:東京都美術館 ギャラリーA・C
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話番号:03-3823-6921
開館時間:9:30~17:30(11月17日、11月24日、12月1日、12月8日は~20:00)※入室は閉室の30分前まで
料金:一般 500円 / 65歳以上 300円 / 学生以下無料
「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」
会場:東京都美術館 ギャラリーB
料金:無料
約200点の器も並ぶ。「鹿児島睦 まいにち」展(PLAY! MUSEUM)
陶芸作品を中心に、テキスタイル、版画などの多彩な仕事を行ってきた鹿児島睦の初の大規模展覧会「鹿児島睦 まいにち」展が、1月8日まで東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催されている。
鹿児島睦は1967年福岡県生まれ。美術大学卒業後、インテリア会社に勤務しディスプレイやマネージメントを担当。2002年より福岡市内にある自身のアトリエにて陶器やファブリック、版画などを中心に制作し、日本国内のみならず、ロサンゼルス、台北、ロンドンなどで個展を開催してきた。作品制作のほかにも国内外のブランドへ図案の提供も行っている。また、国際的なアートプロジェクトへの参加や、空間への壁画制作など活動の幅は多岐に渡る。
本展では、動物や植物をあしらった様々な色や形の約200点の器が、「あさごはん」「ひるごはん」「ばんごはん」と分けられた大きなテーブルや壁面に展示。そのほか、ファッション、インテリア、フードなど、様々な領域でのコラボレーションを通じて生まれたプロダクツを「さんぽ」「おやすみなさい」など、日々の暮らしのシチュエーションで紹介している。
会期:2023年10月7日〜2024年1月8日
会場:PLAY! MUSEUM
住所:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3 棟 2階
電話番号:042-518-9625
開館時間:10:00〜17:30(土日祝は18:00まで/最終入場は閉館の30分前まで)
料金:一般 1800円 / 大学生1200 円 / 高校生 1000円 / 小・中学生 600円
現代美術と東洋古美術の共演。「青空は、太陽の反対側にある:原美術館/原六郎コレクション」展(原美術館ARC)
原美術館ARCで、「青空は、太陽の反対側にある:原美術館/原六郎コレクション」展が1月8日まで開催されている。
本展は、「原美術館コレクション」(現代美術)と「原六郎コレクション」(東洋古美術)を2期に分けて紹介する秋冬季の展示。タイトルは、晴れた日に同館を訪れて出会う空の青は太陽の反対にあるという気づきから付けられたという。
展覧会では、原美術館ARCが40余年の歳月をかけ収集した現代美術家の作品や明治の実業家・原六郎の収集品が展示。第2期のラインナップは、カレル・アペル、荒川修作、アルマン、アルマンド、アンディ・ウォーホル、クレス・オルデンバーグ、工藤 哲巳、久保田成子、クリスト、ヴィレム・デ・クーニング、篠原有司男、セザール、アントニ・タピエス、蜷川実花、エルネスト・ネト、森村泰昌、ロバート・メイプルソープ、マーク・ロスコ、司馬江漢『冨嶽図』、横山大観『海辺曙色図』、『光悦謡本』、本阿弥光悦『蝶下絵和歌巻(古今和歌集春歌上)』など。
会期:第2期(秋冬季)2023年9月9日〜2024年1月8日
会場:原美術館ARC
住所:群馬県渋川市金井2855-1
電話番号:0279-24-6585
開館時間:9:30〜16:30 ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1800円 / 大学・高校生 1000円 / 小・中学生 800円