オモチャ製のキーボードで紡がれるもの。電子音楽家・ASUNA、代表作「100 Keyboards」を石川県で初上演

石川県出身の電子音楽家・ASUNA。その代表作である「100 Keyboards」が、西田幾多郎記念哲学館と金沢21世紀美術館で上演される。会期は11月25日、12月8日、9日。

100 Keyboards Photo by Julieta Cervantes

 ニューヨークBAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)からの招聘による単独公演をソールドアウトさせ、これまで世界25ヶ国以上の音楽祭や芸術祭で披露されてきた、サウンド・アーティストASUNA(アスナ)による代表作「100 Keyboards」。同作が、故郷・石川県で初上演される。

 ASUNAはこれまで「organ」の語源からその原義である「機関・器官」としてオルガンを省みた「Each Organ」(2002)をはじめ、本の語源としてのブナの木をもとに情報の記録・運搬について扱った作品「Epidermis of Beech」(2012)などを発表。音楽では、10代の頃から東京の実験音楽/即興/音響シーンに関わり、様々なアコースティック楽器やコンピュータによる作曲作品から即興演奏を行いつつ、無数のオモチャ楽器と電子音楽によるパフォーマンス「100 Toys」を中心に、制作を行ってきた。Lucky Kitchen(スペイン)、Meeuw Muzak(ベルギー)、Senufo Editions(イタリア)、Faitiche(ドイツ)、12k(アメリカ)、Home Normal(イギリス)、Headz(日本)など、国内外から多くのアルバムもリリースしている注目の存在だ。

 今回は、新作となる「Falling Sweets / Afternoon Membranophone」での1ヶ月以上にも及ぶヨーロッパ・ツアーから帰国直後の公演。見た目にも楽しいオモチャ製のキーボードは、外見だけでなく音色や性能においても独自の存在を定義するほどの特徴を持っているものばかり。干渉音やモアレといった物理現象と、電池駆動による電圧変化とその音程の推移など、科学的な側面からアプローチするというユニークな視点を用いた作曲によって、ほかにはない音響現象を出現させるという。

 会場となるのは石川県西田幾多郎記念哲学館(11月25日)と金沢21世紀美術館(12月8日、9日)。それぞれの建築空間でサイト・スペシフィックな聴覚体験を楽しみたい。

100 Keyboards Photo by Udo Siegfriedt

編集部

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