ミクスト・リアリティで向き合う坂本龍一の姿。The Shedの「KAGAMI」が提示したもの

マンハッタンのハドソンヤードにある文化施設「The Shed」で開催中の、故・坂本龍一の最後のステージコンサートとなる「KAGAMI」。オプティカルデバイスを介して、ピアノを演奏する坂本の姿が会場内に現れる、ミクスト・リアリティを用いたパフォーマンスを、現地のライター・國上直子が振り返る。

文=國上直子

「KAGAMI」における「エナジー・フロー」のデジタルレンダリング Courtesy of Tin Drum

 マンハッタンのハドソンヤードにある文化施設「The Shed」で、故・坂本龍一の最後のステージコンサートとなる「KAGAMI」が開催されている。その内容は、オプティカルデバイスを介して、ピアノを演奏する坂本の姿が会場内に現れる、ミクスト・リアリティを用いたパフォーマンスとなっている。

 「KAGAMI」は坂本が、長年交友のあったトッド・エカートと構想したもので、エカートが率いるミクスト・リアリティの専門集団「Tin Drum」と4年以上かけて完成させた。公演の最初から最後までミクスト・リアリティを利用したコンサートはあまり前例がない。「比類なく独創的な坂本が近年このプロジェクトに注力していたのはごく自然な流れだった」と「The Shed」のアート・ディレクターのアレックス・プーツは振り返る。

「KAGAMI」の制作風景より、坂本龍一、トッド・エカート、ライゾマティクスチームよる撮影の最終日の様子(2020年12月16日) Courtesy of Tin Drum

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