公共空間を中心に大型のアートプロジェクトを行うことで世界的に知られるアーティスト・西野達。その今度の舞台は、渋谷のハチ公銅像だ。
西野は1960年愛知県生まれ。武蔵野美術大学卒業後、ドイツのミュンスター芸術アカデミーで彫刻を学び、97年から主にヨーロッパを拠点に活動。これまでマンハッタンに立つコロンブス像にリビングルームを建設した《Discovering Columbus》(2012)や、シンガポールのマーライオンを取り囲んでホテルを建設した《The Merlion Hotel》(2011)をはじめ、世界各地の街のモニュメントや彫像、建造物、時計台、公衆トイレなどを仮設壁で囲み、空間を変容させるインスタレーション作品を展開してきた。
パブリックなものをプライベートに反転させることで日常的な観念を壊す西野の作品。今回の渋谷でのプロジェクトは、1923年11月10日に生まれたハチ公の生誕100年(銅像建立は1934年)を祝うもので、11月12日に24時間限定で実施される予定だ。
ハチ公前広場のハチ公銅像を囲むように、「ハチ公のベッドルーム」を出現させるというこのプロジェクト。90年もの間、渋谷を見守り続けるハチ公に「休息」を与えるものになるだろう。