文房具店の「試し書き」をサンプリング&リミックスして作品に。シャルル・ムンカの展覧会が「INS Studio」で開催

20年以上に渡り文具店で見かける「試し書き用紙」を蒐集し続けてきたアーティスト、シャルル・ムンカ。その試し書きをサンプリングとリミックスを経て作品化した展覧会「Tameshigaki(lignes de vies)」が東京・渋谷の「INS Studio」で開催される。会期は6月30日〜7月16日。

佐渡島にあるシャルル・ムンカのスタジオ

 東京・渋谷の「INS Studio」で、シャルル・ムンカ(Charles Munka)の個展「Tameshigaki(lignes de vies)」が開催される。会期は6月30日〜7月16日。

フランスにあるシャルル・ムンカのスタジオ

 ムンカはフランス・リヨン生まれ。2000 年にフランスを離れ、東京、上海、香港を経て、2018年から新潟・佐渡市を拠点に制作を続けている。ムンカは世界各国を旅しながら、20年以上に渡り文具店で見かける「試し書き用紙」を蒐集し続けてきた。

シャルル・ムンカ、佐渡島の文房具店にて

 香港で活動していた当時のムンカは、具体美術協会のメンバーとして活動した画家の堀尾貞治(1939〜2018)の「あたりまえの日常生活と美術活動を共鳴させる姿勢」に触発され、オイルスティックを求めて街に数軒しかない画材店を探すのではなく、文具を画材に使うという考えに至る。身近に存在する事務用品店に足を運ぶようになったムンカは、タイプライター用のカーボン紙を用いて、路上で拓本をとり、作品の制作を行うようになった。

佐渡島にあるシャルル・ムンカのスタジオ

 以降、日常や身の回りの取るに足らないことを創作テーマとする姿勢は、ムン化のスタイルとして定着していく。佐渡に移住したムンカは、これまで拓本を通して向き合ってきたトレース表現を軸に試みを続け、他人が残した絶対に捨てられてしまうであろう判別不能な印である「試し書き」の存在に着目。実在の場所に根ざしながらも、まったく別の世界を描く「Tameshigaki」として作品を成立させた。

 本展では、ペンや鉛筆などの「試し書き」として他人が残した線、文字や記号、絵などのモチーフをサンプリング、リミックスすることで新たに組み上げた作品シリーズ「Tameshigaki(lignes de vies)」を初公開。30 点を超える大小の新作ペインティングと、大型のインスタレーションからなる新作個展となる。

 なお、本展はザ・コンランショップ 代官山店でも同時期開催され、さらに作品替えの後、7月28日から「i GALLERY OSAKA」(大阪)への巡回を予定している。

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