特撮の名手から泉屋博古館のオープニング、鏑木清方まで。3連休に見たい展覧会6選

今週開幕の展覧会、またはこの連休に閉幕する展覧会から、とくに注目したい6つをピックアップしてお届けする。新型コロナウイルス対策にともなう事前予約の方法や注意事項については、各館の公式ウェブサイトを参照してほしい。

「没後50年 鏑木清方展」展示風景

見逃せない開館記念展。「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」(大阪中之島美術館、2月2日〜3月21日)

展示風景より、佐伯祐三《郵便配達夫》(1928)

 1983年に美術館構想が発表されてから約40年、2022年2月2日についに開館した大阪中之島美術館。そのオープニングを飾る展覧会「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」は今週末までとなっている。

 展覧会では同館がこれまでコレクションしてきた6000点以上の作品のなかから400点の代表的な作品を選出。マリー・ローランサン、佐伯祐三、アメデオ・モディリアーニ、ルネ・マグリット、アルベルト・ジャコメッティ、ジャン=ミシェル・バスキア、吉原治良などを一堂に公開する。

 また、展覧会では来館者がコレクションに親しみを持てるよう、作品にまつわる99の「ものがたり」もあわせて紹介。新美術館の根幹をかたちづくるコレクションを収集方針とともに知ることができる開館記念展となっている。

会期:2022年2月2日〜3月21日
会場:大阪中之島美術館 4、5階展示室
住所:大阪市北区中之島4-3-1
開館時間:10:00〜17:00
休館日:月(3月2日をのぞく)
料金:一般 1500円 / 大学・高校生1100円
※日時指定事前予約優先制

新たな美術館のリニューアル第一弾展示。「日本画トライアングル」(泉屋博古館東京)

「日本画トライアングル」展示風景

 3月19日、住友コレクションを収蔵する公益財団法人泉屋博古館が「泉屋博古館東京」を新たに開館させる。

 泉屋博古館東京は、2002年に京都の分館「泉屋博古館分館」として六本木一丁目の住友家旧麻布別邸跡地に開館。18年にわたり、館蔵作品の紹介を続けてきたが、19年末に改修工事のために長期休館に入り、約2年の歳月をかけてまったく新しい美術館へと生まれ変わった。

 リニューアル第一弾となる展覧会は「日本画トライアングル」。大阪、京都、東京の三都で活躍した画家の作品から構成された住友コレクションの日本画を通じて、当時の日本画壇を横断的に眺め、地域に根ざした日本画の魅力に迫る。

会期:2022年3月19日~ 5月8日
会場:泉屋博古館東京
住所:東京都港区六本木1-5-1
開館時間:11:00~18:00
休館日:月 (祝日の場合は翌平日休館)
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 600円 / 中学生以下無料

美人画の名手の大規模回顧展。「没後50年 鏑木清方展」(東京国立近代美術館)

「没後50年 鏑木清方展」展示風景

 明治から昭和にかけて、江戸の情緒香る美人風俗を描いた挿絵画家・日本画家、鏑木清方(1878〜1972)の大規模回顧展が、3月18日に東京国立近代美術館で開幕した。

 挿絵画家として名を成し、展覧会で鑑賞する「会場芸術」や、掛け幅などの「床の間芸術」に対して、手元で楽しむ「卓上芸術」を提唱した清方。しかし本展は、初公開作品を含む110点超の日本画のみで展示を構成するものとなっている。美人画のみならず、清方自身が決して高く自己評価していなかった作品もラインナップされ、清方の新たな側面に光を当てる。

 東京国立近代美術館では、清方の代表作として知られながら1975年以来所在不明であった《築地明石町》(1927)と、あわせて三部作となる《新富町》《浜町河岸》(ともに1930)の3点を2019年に収蔵。本展ではこの三部作を、両会場とも会期中展示替えなしで見ることができる。

会期:2022年3月18日〜5月8日
会場:東京国立近代美術館
住所:千代田区北の丸公園3-1
開館時間:9:30〜17:00(金・土〜20:00)
休館日:月(3月21日、28日、5月2日は開館)、3月22日
料金:一般 1800円 / 大学生・専門学校生 1200円 / 中高生 700円 / 小学生以下無料

特撮をつくりあげた足跡が一堂に。「生誕 100年 特撮美術監督 井上泰幸展」(東京都現代美術館)

怪獣・建造物設定対比図、「モスラ対ゴジラ」(1964)より (C) TOHO CO., LTD.

 日本の映像史において重要な位置を占める「特撮(特殊撮影技術)」。そこに大きな足跡を遺した特撮美術監督・井上泰幸(1922〜2012)の大規模回顧展が東京都現代美術館で3月19日に開幕。

 今年生誕100年を迎える井上泰幸は、1953年に新東宝でキャリアをスタートさせ、その後の東宝時代を通じて円谷英二を支える。長く特撮美術監督を務め、特撮美術に文化としての大きな発展をもたらした映像文化を支えた存在だ。

 会場では、井上の遺したスケッチ、デザイン画、絵コンテをはじめ、記録写真や資料、撮影で使用したミニチュアやプロップなどを展示。また、井上の愛弟子であった特撮研究所の三池敏夫が「空の大怪獣ラドン」(1956)で知られる西鉄福岡駅周辺のミニチュアセットをアトリウム空間に再現し、その背景画は島倉二千六、ミニチュア制作は老舗のマーブリングファインアーツが担当している。

会期:2022年3月19日〜6月19日
会場:東京都現代美術館 企画展示室 地下2F
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00〜18:00 ※展示室入場は閉館の30分前まで
休館日:月(3月21日は開館)、3月22日
料金:一般 1700円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 1200円 / 中学・高校生 600円 / 小学生以下無料

表現者として、現代美術の伴奏者として。「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」(アーツ千代田3331)

「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」展示風景

 1960年代以降の日本のクリエイティブ領域の黎明期を、コピーライター、編集者、クリエイティブ・ディレクターとして牽引してきた小池一子。その仕事を総括する展覧会「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」が、アーツ千代田3331で3月21日まで開催されている。

 小池は1980年に無印良品の立ち上げに参画し、83年には日本初のオルタナティブ・スペース「佐賀町エキジビット・スペース」を創設。武蔵野美術大学で教鞭を執る傍ら、2000年にはヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展において日本館の展示「少女都市」をキュレーション。以降も精力的に活動を続けている。

  本展では小池の仕事を「中間子」と「佐賀町」のふたつに分けて展示している。「中間子」ではクリエイティビティ溢れるその活動をアーカイブ資料を中心に展覧。そして「佐賀町」では2000 年の閉廊までに展覧会やパフォーマンスなどの表現活動を展開した「佐賀町エキジビット・スペース」にフォーカスし、同スペースで展覧会を行った作家による作品が約40点展示されている。

会期:2022年1月22日~3月21日
会場:アーツ千代田 3331 メインギャラリー(1F)、sagacho archives(B1F)、B111(B1F)ほか
住所:東京都千代田区外神田6-11-14 
開館時間:11:00〜19:00 ※最終入場は閉場の30分前まで 
休館日:会期中無休 ※sagacho archives(B1F B110)の内藤礼作品は3月21日を除く毎週月曜日、2月22日~23日休廊
料金:一般 1000円 / 65歳以上・学生 800円 / ミューぽん 800円

建築は社会に対して何ができるのか。「吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる」(東京都現代美術館)

展示風景より、手前は《メビウスの輪》

 戦後復興期から1980年まで活躍した建築家・吉阪隆正(1917〜1980)。3月19日から、その全体像に迫る展覧会「吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる」が東京都現代美術館で3月19日より開催される。

 吉阪は「考現学」の創始者として知られる今和次郎や、近代建築の巨匠ル・コルビュジエに師事。人工土地の上に住む住宅「吉阪自邸」のほか、「ヴェネチア・ビエンナーレ日本館」「アテネ・フランセ」「大学セミナー・ハウス本館」などを手がけた。また、設計アトリエであるU研究室(63年に吉阪研究室から改称)を創設し、「不連続統一体(DISCONTINUOUSUNITY)」の考え方に集まった所員や、教鞭を執った大学院の学生らとともにディスカッションをしながら集団で建築をつくりあげていった。

 本展では30の建築とプロジェクトを紹介しながら、建築によって吉阪が目指したものとは何か、社会へのメッセージをひも解く。

会期:2022年3月19日〜6月19日
会場:東京都現代美術館 企画展示室1階
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月(3月21日は開館)、3月22日
料金:一般 1400円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 1000円 / 中高生500円 / 小学生以下無料

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