日本の映像史において重要な位置を占める「特撮(特殊撮影技術)」。その領域において大きな足跡を遺した特撮美術監督・井上泰幸の大規模回顧展「生誕 100年 特撮美術監督 井上泰幸展」が、東京都現代美術館で開催される。会期は3月19日〜6月19日。
今年生誕100年を迎える井上泰幸(1922〜2012)は、1953年に新東宝でキャリアをスタートさせ、その後の東宝時代を通じて円谷英二を支え、アルファ企画設立後も長く特撮美術監督として従事、特撮美術に文化としての大きな発展をもたらした。デザイナー/特撮美術監督として、特撮映画だけでなく、日本映画やテレビにおいて重要な作品を数多く手がけ、映像文化を支えた存在だ。
東京都現代美術館では2012年に特撮領域全般をテーマにした「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」を開催しており、本展はそれに続くもの。約500点の作品によって、日本の特撮領域を支えた井上泰幸の功績を俯瞰する。
会場では、井上の遺したスケッチ、デザイン画、絵コンテをはじめ、記録写真や資料、撮影で使用したミニチュアやプロップなどを展示。また、井上の愛弟子であった特撮研究所の三池敏夫が「空の大怪獣ラドン」(1956)で知られる西鉄福岡駅周辺のミニチュアセットをアトリウム空間に再現し、その背景画は島倉二千六、ミニチュア制作は老舗マーブリングファインアーツが担当する。
なお、同時開催は「吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる」「MOT コレクション展」「Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022」。