樂家450年の名碗が集結!
「茶碗の中の宇宙」展が東京に凱旋

ロサンゼルス・カウンティ美術館、サンクトペテルブルク・エルミタージュ美術館、モスクワ・プーシキン美術館で約19万人を動員、約450年の歴史を持つ日本の伝統的な陶芸「樂焼」の名碗が揃う大規模な展覧会「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」が、京都と東京の国立近代美術館で開催。樂家初代長次郎や本阿弥光悦の作品など、重要文化財が一挙に公開される。

 「樂焼」とは、安土桃山時代に樂家初代長次郎によって始まり、轆轤(ろくろ)や型を使用せず、手とへらだけで成形された陶器。その技法は「手捏(てづく)ね」と呼ばれ、わずかな歪みや厚みを特徴とし、侘び茶の思想を強く反映した造形から、多くの茶人に愛用されてきた。

 本展では、初代長次郎や江戸時代の奇才・本阿弥光悦の作品など、重要文化財がかつてない規模で勢揃いする。今回メインとなる初代長次郎《黒樂茶碗 銘 大黒》(16世紀)は、千利休の侘び茶の真髄を表し、長次郎茶碗随一と謳われている。

 展覧会名にある「一子相伝」は、秘伝を親が子ども1人にだけ伝えるという意味。この貴重な機会に、初代から当代(十五代樂吉左衞門)まで脈々と受け継がれてきた樂家450年の伝統と技を、現代の視点で見ることができる。

 

 さらに充実度を増し、東京国立近代美術館に凱旋する今回、会期中は、十五代樂吉左衞門を迎えてのトークや、ゲストを交えての対談といったイベントが多数予定されている。

十五代吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 2012 東京国立近代美術館蔵

編集部

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