2020.12.25

クラクションを鳴らす車同士のコミュニケーションから着想。大和田俊がインド研修後初の個展「破裂 OK ひろがり」を開催中

電子音響作品やインスタレーションの制作を行う大和田俊。その新作個展「破裂 OK ひろがり」が、栃木県の小山市立車屋美術館で開催されている。会期は2021年2月7日まで。

デザイン=鈴木哲生
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 人間の身体や時間との関係を考察するアーティスト・大和田俊の個展「破裂 OK ひろがり」が、栃木県の小山市立車屋美術館で開催されている。会期は2021年2月7日まで。

 大和田は1985年栃木県生まれ。2010年に東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科を卒業後、12年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了した。

 これまで「Volvo Art Project」(ボルボスタジオ青山、東京、2017)、「Paleo-Pacific」(トーキョーワンダーサイト本郷、東京、2016)、「unearth」 (NTT InterCommunication Center、東京、2015)と個展を開催してきたほか、フランスやポーランド、タイ、オーストリアなど海外の展覧会にも参加。1年間のインドでの海外研修を経て、現在は東京を拠点に活動を行っている。

 本展は、インド研修後は初となる個展。本展のタイトル「破裂 OK ひろがり」は、インドのトラックやリキシャー(三輪タクシー)の車体に描かれた「Sound OK Horn」という文言から着想を得たものだ。ほとんど信号がないインドでは、車同士がクラクションを鳴らしながらその場その場で交通上のコミュニケーションを取る。その光景を目にした大和田は、局所的に響きわたる音があちこちで連鎖し、空間へと広がっていき、中間的な構造を介さずにインド亜大陸の広大なスケールに至る、という音響的なイメージを持ったという。

 また大和田は、街中にあふれるこの注意書きから、OKが図像的に中心に来ることで、文法的な繋がりや束縛から離れ、言葉が図像的に散らばっていくような面白みも見出した。本展では、局所的に起こっていることが空間を通じて伝播し、それに先立って空間が備える離散の景気について考察した新作が並ぶ。

撮影=百頭たけし
撮影=百頭たけし