東京・天王洲のANOMALYで、今井麗、宇治野宗輝、大木裕之、開発好明、髙山陽介、永田康祐、エレナ・ノックス、潘逸舟によるグループ展「Echoes of Monologues」が開催される。会期は9月16日~10月10日。
コロナ禍において、以前と同じ生活には戻れないという確信のなかで、何を楽しみ、信じ、何に向かって生きるのか。様々な作家たちの「モノローグ」でこれらを問う本展は、「日産アートアワード2020」でグランプリを受賞した潘逸舟(はん・いしゅ)の作品からスタートする。
潘は、移民の歴史や現状をリサーチするなかで、外国人技能実習生とともに農業労働に従事した体験から生まれた作品を発表。同作は今年2月の個展「いらっしゃいませようこそ」(神戸アートビレッジセンター)のために制作され、関東圏では初披露となる。
現在「ヨコハマトリエンナーレ2020」に参加中のエレナ・ノックスは、「Actroid」シリーズの最新作として、ひとりの女性が不気味な視線を投げかける《The Host》を発表。「Actroid」は、科学技術が発達した未来におけるアイデンティティや信念の持つ役割、そしてジェンダーや人格、むき出しにされた社会状況への新たな展望を探求する作品群だ。
大木裕之は、東京大学工学部建築学科在学中の80年代に映像制作を開始し、映像というメディアを通して「思考すること」を探求してきた。今回は、大木のライフワークと言える「松前君シリーズ」から傑作と名高い《松前君の旋律》(1992)と、今年5月に東京、岡山、高知で撮影された最新作《メイⅣ》を上映する。
そして、親しみのあるモチーフを瑞々しく表現する今井麗は、本展で最新ペインティング約20点を展示。来年には作品集の出版を記念し、PARCO MUSEUM TOKYO、Nonaka-Hill(ロサンゼルス)、ANOMALYの3ヶ所で個展を開催予定となっている。
新作や未発表作品を含む、様々なモノローグがエコーする本展では、複雑で多様性のある思考の可能性を見ることができるだろう。