毎年、国際的に活躍するひと組のアーティストを別府に招へいし、地域性を活かしたアートプロジェクトを開催する、個展形式の芸術祭「in BEPPU」。これまでに目、西野達、アニッシュ・カプーア、関口光太郎がそれぞれ個展形式で作品を発表してきた。
5回目となる今回は、音楽、美術、舞台芸術など、分野を横断して活躍するアーティスト・梅田哲也を招へいし、別府市内各所を会場とした「梅田哲也 イン 別府」が開催される。会期は2020年12月12日〜2021年3月14日。
主催の混浴温泉世界実⾏委員会は、かつての日常が覆された現在においても、未来を想像してつぎの⼀歩を踏み出すための⼒を持つような、想像力の源泉として同展を企画したという。
梅田哲也は1980年熊本県生まれ。2000年代前半より音楽、美術、舞台芸術の分野を横断しながら、インスタレーションやライブパフォーマンスを国内外で発表。展示空間や周囲の環境に介入し、そこにある設備や素材を用いて、人の知覚に訴える作品を制作してきた。
近年の展覧会には、「See, Look at Observed what Watching is」(2016、ポートランド現代美術協会)、「リボーンアート・フェスティバル」(2019、宮城)、「梅田哲也 うたの起源」(2019、福岡市美術館)などがある。
今回の展示で梅田は、別府市内の様々な場所に作品を設置。観客が地図などを頼りに各所を巡るだけでなく、オンライン上で鑑賞できる作品の制作も予定され、複数エリアを舞台に長期的に展開する回遊型のプロジェクトを提案する。
梅田は展覧会について以下のようにコメントしている。「自分がこれまで出会ってきた場所や人のなかで、つづけられなくなった場所、やめざるを得ない人たちがいるのを知るにつれ、自分は今どういう立場にあるだろうかとかんがえます。 ひとまず、自然のこととそうではないこと(抗えること)を分けることから始めてみます。自然は自然として受け入れてしまってから、あらためて一つひとつ手をつけていくことにします」。