1990年代より、エディトリアルやファッション・フォトの最前線で活躍する写真家の鈴木親。フランスでキャリアをスタートさせた鈴木の活動は幅広く、その作品はファッションやアートの境界を超えている。
これまで展覧会や写真集での発表が少なかった鈴木だが、18年以降は自身が所属するKOSAKU KANECHIKAで連続的に個展を開催。長年撮り続けてきた被写体である「東京」の再解釈を軸に、写真というメディアについての再考、また写真史へのレファレンスなど、重層的なコンテクストを持つ展示を行った。
今回、これに続く個展「東京の日常の断片」が同ギャラリーで開催される(3月7日〜4月11日)。本展は、鈴木が自身でセレクトした約40点で構成。綿密なセッティングをして撮影したものではなく、私的なスナップを中心とした展示だという。またその多くは、撮影後発表されないまま長い時間を過ごしてきた写真だ。そこでは、パブリックな存在の人物、パブリックな存在になる前の人物、東京の街や風景、花などが、等しく鈴木の日常の断片として切り取られている。